第30話

「諸君らが今、最も我に聞きたいのは五賢会についてだろう。今。語ろうではないか……五賢会について」

 

 国王は一切言葉を飾らず、ただただわかりやすいように話していく。


「我はこの国の王であり、頂点であるか……?それは否である。この国の王は確かに我である。しかし、その頂点は我ではなく、五賢会である。我も五賢会の傀儡にすぎない。五賢会の定めた規定の中で我は動き、多くのことを為してきた」

 

「……ッ!?」


「どういう……ッ!?」


「そ、そこまでなのか……」


 国王の語る内容を前に民衆が沈黙する。


「王家とアレイスター家。その両者は何もかもが真逆の存在である。

 

 華やかな王家と質素なアレイスター家。

 名誉を誇る王家と落ちこぼれと見下されるアレイスター家。

 常に頂点である王家と常に最下位居であるアレイスター家。

 表の王である王家と裏の王であるアレイスター家。

 

 何もかもが真逆の両者であるが、その運命は常に同じであった。ともに五賢会の犬であり、自由を持たない。飼われた犬。この国は五賢会のものと言っても過言ではない」

 

 国王の語る内容。

 それを前に民衆はは驚愕し、黙り込む。


「しかし、アレイスター家は運命に逆らい、リードを噛みちぎった。であるのならばッ!我ら王家もそのリードを噛みちぎろうッ!!!イロンティア国王として宣言するッ!!!我はこの国の癌たる五賢会へと宣戦を布告するッ!!!光栄に思うが良い!汝がこなしてきた事の大きさゆえに汝ら五人を一国家として相対するのだからッ!」


 国王の宣言。

 そのタイミングで。

 

 ドゴンッ!!!


 国王が立っていた場所が吹き飛ばされ、国王の体が宙へと浮かび上がる。


「「国王陛下ッ!!!」」

 

「何をッ!!!ほざいているのですかッ!!!!!」

 

 魔力が吹き荒れる。

 宙を舞う国王を殺さんと伸びる腕。


「何しようとしているのさ」

 

 僕はそれを掴んで、不敵に笑う。


「アレイスタァァァァァァァァァァアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!」

 

 そんな僕を前にして腕の持ち主……五賢会の一人が叫んだ。

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