第28話
五賢会の一人が殺された。
それが与えた影響は大きかった。
その一報に民衆は沸き立ち、王侯貴族たちは恐怖に怯えた。
もはや。事態はどうしようもない状況にまで来ている。
とうとう五賢会が動かなくてはいけないような状態となってしまった。
■■■■■
「今更……動き出したところで無駄だよ。出来る手は全て潰してある」
僕は一人、呟く。
誰も居なくなってしまった作戦室で。
ついさっき、アレイスター家の情報部より五賢会の連中が動き出したという一報が入ってきたところだった。
「商会、他国、傭兵。主な組織には既に話を回してある。今更動いたところで無駄……。既に多くの貴族たちは動かない……僕だって動かないし、虎の子である暗殺者連中の大半は寝返らさたし、残った奴も全員殺した。もう詰みだ」
五賢会が集めていた虎の子の暗殺者たちは既に裏切らせて、世界の各地に飛ばしてしまっている。
裏切らなかったやつ、裏切れなかったやつは皆殺しにしてある。
もはや、騎士団を使っての武力制圧しかないだろう……しかし、それをすればどんどん不利になるのは五賢会である。
僕の味方が増え、アレイスター領を守る人が増えたら、僕が好き放題動くことが出来る。
もはや八方塞がりと言っても良いだろう。
「さぁて……いつあの出来損ないの傀儡王を動かすかな?」
出来ることは脅しだけ。
実際に五賢会が表舞台に立つことはない……ならば、あれが前に出ることになるだろう。
さぁ……フィナーレだ。
ようやく……ようやく最初の一歩を踏み出すことができる。
「ふぅ……」
本当にようやくだよ。ここに来るまでに長い時間がかかった。
「あー」
僕は一人にしては広い空間のソファの上で寝っ転がる。
「おやすみ……」
仮眠しておこう……戦いの始まりに備えなくてはいけない。
最近あまり眠れていないし、眠れるときにしっかりと眠っておきたい。
「んぅ……」」
僕は瞼を閉じ、意識を闇の中へと手放していく……。
「お父様……お母さん……みんな……」
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