第24話

 月明かりが輝く夜。

 僕とミリアはとある建物の屋上で気配を同化させて、リラックスしていた。 


「なんかもう疲れた」

 

 まだ何もしていないのに、すごく疲れている……マジで何をやっているんだろうか……?僕は。

 いや、性行為はしたか。あれ結構体力使うんだよな。


「失敗しないでくださいね?」

 

 そんな僕を見て隣に居るミリアは心配そうに尋ねてくる。

 

「舐めるな。個人のコンディション程度で成功率が変わるほど僕は柔じゃない」

 

 そんなミリアに対して僕は答える。

 暗殺者であれば、殺せるタイミングで100%殺せるのが当たり前。例え風邪であっても、怪我であっても、コンディションが変わることがない。


「それなら良いのですが……」

 

 僕の言葉に対してミリアが安堵に似たような声を出す。


「良し。……じゃあ、とりあえずの目標の確認だ。僕たちの目標は五賢会の暗殺者に見せかけての民衆のリーダーの暗殺だ。僕がやったらバレちゃうから、ミリアがやってもらわなきゃいけない」

 

 僕はダラケさせていた体を叩き起こし、ミリアの方へと視線を向ける。

 今、民衆と五賢会並びに貴族の対立にはこれ以上ないまでに高まっていて、一触即発の状態。

 つい最近も民主化運動をした人たちが大量に投獄されている。

 そんな状態の中で一つ火花を散らせば、一気に爆発してくれるだろう。

 

「えぇ……わかっているわ」

 

 僕の言葉に、ミリアが笑顔で頷く。


「それなら良かった……僕はミリアのサポート。あくまでミリアが主体となる……頑張ってね?」


「承知致しました。エルピス様のご命令。しかと受け取りました」

 

 ミリアは僕の言葉に対してコクリと頷く。


「それなら良い……さて、と。じゃあ……そろそろ行こうか」


「えぇ。行きましょう」

 

 僕の言葉にミリアは一切の緊張や感情を込めず……自信満々に頷く。

 

「良し……じゃあ作戦開始。まぁ……下準備は全て僕が終わらせるよ」 

 

 僕は屋上から飛び降り……行動を開始した。

 初めての暗殺をこなすミリアのお膳立てのために。

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