第22話

「入るわよ」

 

 既にお腹いっぱいすぎる僕。

 そんな僕の元に、ラザリアがやってくる。


「お、お前も僕が好きだとか言わないよな……?」

 

 僕はラザリアに向かって震えた声を投げかける。


「言わないわよ。……私があなたを好きになる理由がないでしょう……?私はリーリエの恋を応援しているのよ」

 

「……」

 

 僕はラザリアの言葉を聞いて何とも言えない無の感情となる。


「まぁ……うん。僕のことを好きじゃないようで良かったよ」

 

 そして、僕は何とも言えない声色で何とも言えない声を上げることになった。


「贅沢な奴ね。好意を持たれていなくて良かっただなんて。モテない男子が聞いたら発狂ものよ……?い、一応……私は男子人気高いんだから」

 

 ラザリアは少しだけ照れながら、自分がモテていることを話してくれる。


「そう。ならその中から素敵な人を見つけてね」


「えぇ。言われずともそうするつもりよ」


「それで……?ラザリアは一体何の用で僕の元に来たの?」


「えぇ……贖罪のためよ」

 

「ァ?」

 

 僕はラザリアの言葉を聞いて声を荒らげる。


「あなたは気にするな、とは言うけど……真面目な私は気にするのよ。不真面目なあなたと違ってね……あなたのために出来ることはないか。自分なりに考えたつもりよ。……ねぇ、傭兵は。まとまった数の戦力は必要かしら?」


「ッ!」

 

 ラザリアの言葉。それに対して僕は驚く。


「あなたの弱点。それは大人数を守れないことでしょう?お母さんにも聞いたから間違いないわ。あなたがもし、目的を達成するのに苦労するのならば……足りないのは数の戦力だと思って、用意してみたのよ。どうかしら?」


「……必要だな。まったくもってそのとおりだよ」

 

 僕はラザリアの言葉を肯定する。


「ほんと!?……ふふふ、良かった……それじゃあどう動かせば良いかしら?」


「アレイスター領に送って、領民を守ってほしい」


「わかったわ。任せてちょうだい。私なりの贖罪をちゃんとこなしてみせるわ」

 

 ラザリアは誰よりも頼もしく頷いた。

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