第21話

「……君も僕に何か用なの……?」

 

 暗殺の準備を終えた僕の元にやってきたアルミスに僕は震えた声を上げる。

 ……いつものアルミスであれば何も怖くなどない。

 しかし、何故か今のアルミスは天使の……女としての姿で僕の前に立っていた。

 

「……そんなに長い用じゃないわ」

 

 アルミスが翼を広げ、僕を覆い隠す。


「あなたは私の初めての友達で……同じ孤独を抱える者」

 

 慈愛の声と……僕に向けられる温かな魔力。

 

「あなたに永遠の安念がありますように……『天使の加護』」

 

 僕の体が光に包まれて、自分のステータスが上がったことを確認する。

 ……こんなの要素があったのか……。


「あなたには死んでほしくない……これは私のささやかな気持ち。お願いだから無事に帰ってきて……?」


「あぁ……もちろん。助かったよ。これは……永続的なのものであっている?」

 

 僕はアルミスの言葉にお礼を告げ、気になっていることを聞く。


「えぇ……そうね。これは私の思いが消えない限り永続的なものよ。でも……私に嫌われたら消えちゃうから。ちゃんと私の好感度を維持してよね?」


「ふん。あれだけのことをしても嫌いにならないドMのお前であれば、何をしても問題なかろう」


「あぁ!!!ひどい!なんてことを言うの!?私はドMなんかじゃないわ!」 

 

 僕の言葉に対してアルミスが頬を膨らませて抗議する。自分はドMではないとそう話す。


「……まったく!信じられないわ!私をドM扱いするなんて!」


「あはははははは」

 

「ふー……まぁ、良いわ。私の用はこれだけよ。……あなたの無事を誰よりも祈っているわ」

 

 アルミスが僕に対してそう言って微笑み、僕の方へと背を向け部屋のドアを開ける




「あなたなら私に恋を教えてくれるかしら……?」




 部屋から出る直前。

 ボソリと……小さな声でアルミスは呟く。


「……え?」

 

 最後の最後で告げられたアルミスの爆弾。

 超巨大な……巨大すぎる爆弾。

 それを前に僕は完全に固まり……ただただ呆然と言葉を漏らした。


「……え?」

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