第20話

 あぁーッ!!!もうッ!何なんだよッ!リーリエもッ!ミリアもッ!

 なんで……ッ!なんで僕なんかを好きになるんだしッ!……主人公はどうしたよ!図書館の司書にうつつを抜かしている主人公はどうしたんだよ!

 

 サブマはミリアのこと好きだっただろうが……!

 いや、そもそもの話……ミリアのあれは告白だったのか……? 

 恋愛経験が暗殺をスムーズに遂行するために、女性を落としたくらいで、ほかはない。前世に彼女も出来たことなかったし……。


「はぁ……」

 

 僕は深々とため息をつく。

 あぁ……面倒。面倒臭い。

 訳がわからない……なんで僕なんかを好きになるんだ。趣味が悪いにもほどがあるだろ……。

 

「エルピスぅぅぅぅぅぅぅぅううううううううううううううううううううう!!!」

 

 僕がそんなことを考えていると、部屋の中に何故か泣きながら叫ぶキャサリンが入ってくる。


「大丈夫ぅ?無理してない?」

 

 そしてそのまま僕へと抱きついてくる。

 泣きはらした顔をこすりつけ、僕を心配するかのような声を上げる。

 ……僕の服へとべったり涙とか鼻水だとかが擦りつけられる。


「……」

 

 逆だろ……これ。なんで泣きはらしている奴が他人の心配しているんだよ。おかしいだろ。


「うぅ……死んじゃ嫌だからね……エルピス死んだら私耐えられないから……好きだよ……好きだよ。将来はエルピスのお嫁さんになるんだよ……私は」

 

「……」

 

 僕は沈黙する。

 予想はしていた……そして、何の言葉も告げられなくなるのも予想通りだ。クソッタレ。

 なんで僕は……。


「死なないでぇ……置いてかないでぇ」


「死なねぇよ」

 

 僕はキャサリンを自分から引き離す。


「簡単に死ぬほど僕は柔じゃねぇ……舐めるなし」

 

 そう簡単に死ぬような人間ではない。僕は。舐めないでほしい。アレイスター家とまともに戦って殺せる人間なんてそうそういない。

 ましてや、最高傑作である僕を倒せる人間は存在しない。


「だから、さっさと生徒会室に戻れ」

 

 キャサリンの告白。

 それに対して僕は何の返しも行わず……ただたださっさと戻るように告げた。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る