第13話

 現状に誰よりも焦っているのが五賢会の面々だ。


『まさか……こんなことになるとは……ッ!!!あの男……ッ!!!死してなおッ!!!』 

 

 五賢会は自分の子飼いの情報部に新聞社を探らせ……エルピスの父親が自分が死んだ時ようの暴露内容を伝えていたことを掴んでいた。

 ただし、五賢会の情報部は対した技術がなく、アレイスター家の手のひらで良いように踊らされているのだが……。


『くっ……アレイスターは……外出中ですかッ!こんなことになるのであればあのような些事、後回しにしておけばッ!』

 

 五賢会の面々は苛立ちながら言葉を荒らげる。

 ……いや、五賢会の一人という方が正しいか。

 他の四人はアレイスター家にさしたる興味も抱いておらず、自分の地位を守ることにのみ固執しているためぶっちゃけるとアレイスター家に対して意欲的に動いていなかった。

 そのため、他の四人は睡眠中である。

 

『あなた……今すぐにあの出来損ないを使ってアレイスター家の評判を下げなさい。……やらないよりはマシです……』

 

 五賢会の一人は自分の子飼いの人間に命令を下す。

 

『忌々しい……忌々しい……忌々しい……ッ!!!』

 

 五賢会の一人はブツブツと呟き続ける。

 

 失敗した。

 五賢会の一人は対応に失敗した。まず、やらなくてはいけなかったのは、アレイスター領の制圧である。

 

 アレイスター領には続々と人が集まっている……武装した人たちが。

 

 時間が経てば経つほど、アレイスター家にとって有利な状況が形勢されていく。 

 新聞社を動かして、アレイスター家の悪評を流す……なんてことをしている暇などなかった。

 事態は一刻を争う状況なのだ。

 五賢会は自分の母親を手にかけたエルピスのことを信じてしまった。

 

 結局のところ、長い間ずっとアレイスター家は五賢会の奴隷だった。

 だからこそ、五賢会の一人は最後の最後まで、アレイスター家を警戒することが出来なかった……。

 

 チェックメイト。

 既に勝負の結果は見えていた……そして、それに五賢会は気付け無い。

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