第12話

 生徒会室。


「そんなッ……!嘘ッ……!!!」

 

「なんだ……これっ」


「ひどい……」


「こ、こ……」


 そこではお通夜のような雰囲気が漂っていた。


「こ、ここまで……」


「あの人が……も、うわかんない……」

 

 幼少期からの付き合いでエルピスの両親と……大体一人で暇していてリーリエの相手になっていてくれたエルピスの母親と深い関係があったリーリエはエルピスの両親が処刑された、ってだけで限界に近かった。

 

「私だ……私だ私だ私だ私だ私だ私だ私だ私だ私だ私だ私だ私だ私だ私だ私だ私だ」

 

 ラザリアはただひたすらに自分を責め続ける。

 エルピスに自分を責めるなと言われてはいるが……自分を責めるな、という方が無理だった。


「こ、こんな……」

 

 サブマは……勇者でありながら友の事情を全く知らなかった自分を恥じ、そして今。何も出来ない自分を憎んでいた。


「……エルピス……」

 

 深く事情を知らないキャサリンはただただ自分の愛する人を心配し、祈り続ける。


「エルピス……ッ!!!」

 

 アルミスは一人ぼっちの自分と境遇を重ね……エルピスへの評価が一つ上がる。

 憎くも仲の良い友達以上へと昇華される。


「ここまでするのか……」

 

 エルピスの事情を知っている生徒会長はその徹底ぶりに驚愕し、それを実行するエルピスの狂気に恐怖しつつも……ものすごく興奮していた。

 こいつは全然ブレない……なんだかんだこいつも狂気に染まっていた。


「……」

 

 ミリアは沈黙を保ち続ける。

 彼女が願っているのはエルピスの破滅。そう自分に言い聞かせている。

 自分はエルピスのことなど好きではない。人殺しを、自分の父親を殺したエルピスを許さない。

 ……あぁ、だがエルピスの両親も国に殺された。

 ミリアは既に自分の心がもう何が何だがわからなかった。ただただ苦しかった。

 しかし……五賢会を狙うミリアの刃は更に研ぎ澄まされ、その熱が膨れがっていく。

 

 ここにいる全員が各々自分の感情を……尽きぬ強烈な感情を持ち、ただただ自分を抑え込んでいた。

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