第11話

 新聞。

 それは爆発的な広がりを見せていく。

 

 いつの間にか王都でそれを知らぬ者は居なくなり……辺境の村々、街でも知っている人間が増えていく。

 文字が読めなくても知ることの出来る新聞はあまりにも画期的過ぎた。

 

 アレイスター家について知ろうと学院に民衆が押し寄せ、フットワークの軽い行商人、傭兵などは噂の真偽を確かめるためにアレイスター領にまで実際に出向いた。

 もし、新聞通りに……アレイスター領に正規軍が押し寄せてきても自らの身を守れるように、武装して。

 

 アレイスター家の人間であるエルピスに大恩がある南の人たちはアレイスター家を守るために行動しようとしている人が多く、大きな唸りとなって動き始めていた。

 

 その広がりは民衆だけじゃ収まらない。

 貴族たちにも爆発的に広がっている。

 

 アレイスター家の人間であるエルピスが通っている学院の生徒たちは授業なんかそっち抜けで議論していた。

 

「……これ、信じられるか?」


「はっ。こんなもの誰が信じるんだよッ!デマだデマ!」


「でも、これが本当なら全て解決する……」


「アレイスター家が落ちこぼれなのに侯爵家なのも、落ちこぼれの家系なのにエルピスがあんなに強いのも……」


「あれは落ちこぼれじゃなくて……本当は由緒正しき家だと言う方が納得出来る……」

 

「そもそもアレイスター家って建国時からあるし……そんな昔からある貴族なんてもう公爵家と王族を除いたらアレイスター家くらいじゃ……」


「はっ……くだらない。アレイスター家はともかく五賢会って何だし」


「いや……俺は自分の父親が五賢会と言う単語を恐怖に顔を引き攣らせながら呟いていたのを幼少期に見たことがあるぞ……」


「はっ……?それってマジで言っている……?」


「マジに決まっているだろ……だから、割と信憑性は高いんじゃないかと思っている……」


「……マジで洒落になってなくないか?これ」


 学院生が激しく議論を交わしている内容……生徒会に属しているエルピスについての内容。

 その情報は生徒会室にも渡ってきていた。

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