第10話
「は……?」
「これは……一体?」
「うちの国に暗殺者なんて居たのか……?」
「いや……居るだろう。南の一件で辺境伯はお飾りであることがわかったし、この国、そしてこの国の周りの人間には不穏死した人が多すぎる」
「いやいや!所詮その情報を仕入れたのはこの新聞だろう?これが嘘つきだったらどうなるんだ!」
「……は?俺は胡散臭い、俺たちを見下している貴族連中よりも新聞社の方を信じるね」
「というかアレイスターってなんだ?初めて聞いたんだけど……」
「侯爵家なのに誰にも知られていないのが問題なんじゃね?」
「俺は商売で一度だけ行ったことがあるが……良い場所だったぞ。決して栄えているとは言い難いが、良いところだったぞ。領民が優しくて、穏やかなところだった。老後はあんなところで過ごしたいな……あぁ、そういえば確か、領主様は不在なことが多かったな。不在の理由は……」
「いやいや!アレイスター家なんてどうでも良いだろッ!問題はこっちの五賢会って方だろ!」
「いや、別にトップ誰だろうが俺らには関係ねぇよ。問題なのはこっちの方だよ。……本当に国防を全てこの家が担っているのだとしたら……ここがこの国に対して不満を覚えたら終わりだろ……両親が処刑されたって。そんなの子供の方はこの国を見限っても何もおかしくないだろ……」
「本当だよ……いくらなんでも……ここに書いてあることはひどすぎる……」
民衆は口々に自分の考えを述べていく。
新聞。
もはや民衆たちにとって無くてはならないものにまで成長したその一大コンテンツに掲載されている情報。
それが議論を呼んでいた。
長年国を牛耳ってる五賢会と長年国防を担っているアレイスター家のすべて。
そのあまりにも多すぎる情報は民衆を困惑の渦に叩き込んだ。
まだ……新聞は民衆にしか広まっていない。
しかし、これから貴族たちにも急速に普及していく。街を歩き、生活をしているごく一部の学院生たちによって。
計画は順調に進んでいた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます