第4話
僕は暗い廊下を歩いていく。
歩いているのは学園の廊下ではなく、五賢会がいる部屋に向かう廊下である。
「ふー」
一度、大きく息を吐く。
僕がやらなくてはいけないのは民衆の支持を取り付けること。
アレイスター領の人達を守ってくれる人が……アレイスター家を認めてくれる人が必要になる。
暗殺者として活躍しているアレイスター家が民衆の支持を取り付けることはかなり難しい。
人を殺しているという事実は……どうあっても重くのしかかる。
だからこそ……アレイスター家は徹底的なまでに被害者にならなくちゃいけない。
被害者に……哀れな可愛い男になる必要があるのだ。僕は。
「……」
僕は扉の前で足を止める。
心を殺せ。
己は何者だ?
己は何物だ?
己が目的は?
僕はアレイスター家の人間だ。
僕は絶対的な感情を持っていない道具だ。
僕が目的はアレイスター家の悲願を達成させること。
「行こうか……」
僕は五賢会のいる部屋の扉を開き、中へと入った。
「やぁ……一体何の用だい?」
カーテンの奥にいる五賢会にいる彼らに笑顔を向けながら言葉を告げる。
『ふむ……随分と落ち着いているのだな』
「同然でしょう?僕は……普通のアレイスター家ではないからね?」
『……その言葉に頷いておきましょう。あなたの父親については残念でしたね。あなたの父親は新聞社に加担していることがわかりました』
五賢会の人が淡々と話していく……そうだよね。流石にお父様はわかっているよね……。
『私はあなたを信用しています。あなたが父親とは違い、新聞社に加担することがないと信じております』
「あぁ……そうだとも」
僕は五賢会の言葉に頷く。
『そうですか……それならば問題ありません。ですが、我々にはあなたの言葉が本当かどうかを知る術はありません……連れてきなさい』
五賢会の言葉とともに部屋へと一人の男と……その男に捕まっているお母さんが連れてこられる。
『その反逆者をあなたの手で殺しなさい。それを我々への忠義の行いだと認識します』
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