第3話

 僕が一人……廊下を歩いている時。

 

 タッタッタッタッタッ

 

 後ろから誰からの走る足音が聞こえてくる。


「……ラザリアか」

 

 僕は後ろを振り返り、走って追いかけてきた


「ごめんッ!!!」

 

 ラザリアは僕の前に止まるなり、そう叫ぶ。


「私たちだよねッ!アレイスター家は……きっと表舞台に立っちゃいけなかったッ!なのに……私たちが押しかけたからッ!友達になるように強要し…近づいたッ!!!だから……だからッ!!!」

 

 ラザリアは叫ぶ。

 叫んで、叫んで、叫んで。

 

「くだらねぇ」

 

 僕はラザリアに向かって言葉を吐き捨て……ラザリアの胸ぐらを掴んでを壁へと押し付ける。


「この選択を選んだのは僕だ。お前が気にすることじゃない」

 

 僕なのだ。

 お父様を処刑する……家族を殺す選択をとったのは。

 あの日……サブマとリーリエの提案を受け入れたあの日に僕はそう決め、覚悟を決めたはずだったのだ。

 僕は家族を殺した上の策を立てていた。

 無様を晒したのは僕の未熟さ上だ。 


「だ、だけど……ッ!」


「選んだのは僕だ。その選択に対して……勝手に同情して勝手に責任を感じるな……僕が惨めになる」

 

 僕は壁へと叩きつけたラザリアの胸ぐらを離す。


「悪かったな。……苛立ってんだよ。もう追いかけてくるなよ」


「ごめん……」

 

 それでも……ラザリアは僕に対して謝罪の言葉を口にする。


「ちっ」

 

 僕は舌打ちを一つしてから、ラザリアに背を向けて歩き出す。これ以上会話しても互いに良いことなんて無い。


「……忘れないでッ!あなたは決して一人じゃないッ!あなたを慕っている人は多いから!自分勝手で我儘な私が言うのも何だけど。でも!でも!一人じゃないのッ!良い子があなたの周りにも沢山ッ!だから……!だから……!」


 ラザリアは必死に言葉を紡ぐ。


「あっそ……」

 

 ……ハッ。一人だよ……僕は。

 成長し過ぎだよ。ラザリア。ウザったいったらありゃしない。

 もっと自分勝手で我儘で鈍感で……どうしようもないまでの無知になって居ろよ。

 

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