第7話
「え?誰だ……?」
僕の言葉にサブマが首を傾げる。
「キャサリンだよ。キャサリン」
僕は首を傾げているサブマに教える。
キャサリン。
あの子は反戦派の魔族の軍団長の娘だ。
彼女を伝手すればその人に会えるし……心強い味方となってくれるだろう。
「ん……?」
僕の言葉を聞いてもなおサブマは首を傾げていた。
ピンと来ていないのはサブマだけではなくて、他のみんなも一緒。
リーリエ、ラザリア、生徒会長、ミリアも同じだ。
「え?……知らなかったけ?キャサリンってば魔族のハーフなんだけど」
僕はそんな反応を見て首を傾げる。
「ん?……いや、それは知っているが。あ!そっか。キャサリンのお父さんは反戦派の魔族なのか」
「うん。そうだよ。……みんなは詳しいこと知らないんだっけ。キャサリンのお父さんは根っからの強い意思を持った反戦派の軍団長なんだよ」
もしかして……父親が一体どういう立場の人なのかわかっていないのだろうか?……いや、そんな馬鹿な。
そんなことはいくらなんでもないだろう。
確か話したと思ったのだけど……。
「えぇぇ!?誰ッ!?それ!?うちの軍団長に反戦派ッ!?そんなの聞いたことないんだけど!?本当に居るの……?」
それに対して強く反応したのはサブマたちではなく……魔王の方だった。
反戦派の軍団長が居る。
それが信じられないようだ。……まぁ、軍団長は全員好戦的な正確の持ち主だし……その人はものすごくしっかりと自分の考えがわからないようにしているから、気付け無いのにも無理はないけど。
ちなみにだけど、ちゃんと魔王以外のみんなも驚いていた。
うん……どうやら僕はみんなに何も話していなかったみたいだね……。生徒会長やミリアも驚いているようだし……。
「うん。居るよ」
僕は驚愕している魔王の言葉を肯定する。
「名前はッ!?」
「リガルレインだよ」
「リガルレインンンンンンンンンンンンンンンンンンンンンンンンンンッ!?!?」
僕の言葉を聞いて魔王が驚愕の声を上げる。
「はっ!?ふぉ!?ほっ!?えっ!?」
魔王はこれ以上無いくらいに驚愕している。
「えぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇええええええええええええええええええええええ!?全然信じられないよッ!!!あいつがッ!?あの堅物がッ!?反戦ッ!?えッ!?……うそ……えぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇえええええええええええええええええええええええええええええええ!?嘘じゃんッ!」
心底信じられない、魔王はそんな感じの表情を浮かべている。
「嘘じゃないよ」
「ほ、本当なの……?」
「うん。本当だよ。こんなところで嘘をつくわけないじゃん。思ったよりもあの人は隠し通せているみたいだね」
「し、信じられないわ……」
「そりゃ……僕が魔界で傭兵として活動する上で一番そのサポートをしてくれたからね。ちゃんと会って話したこともあるし、間違いないと思うよ」
僕はそう断言する。
リガルレインは信頼出来る。
僕もお世話になったし、キャシーさんは今でもちょいちょいリガルレインと文通を交わしていたりする。
リガルレインの意思は今でも変わっていないだろう。
「え?傭兵?……あなたそんなことまでしていたの?」
僕はひと時、魔界の調査を行うために傭兵とし魔界に潜伏して過ごしていたことがある。
「うん。そうだねー。魔王だって知っているんじゃない。傭兵……双剣の小悪魔?だったっけ」
僕は自分につけられた二つ名を思い出して魔王へと教える。
「双剣の小悪魔ぁぁぁぁぁぁぁぁぁああああああああああああああああああ!?」
そして……僕の言葉に再び魔王が驚愕する。
「はっ!?ふぉ!?ほっ!?えっ!?」
魔王はこれ以上無いくらいに驚愕している。
「えぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇえええええええええええええええええええええええ!?」
信じられないようなものを見る目で魔王が僕のことを見てくる。
……なんか繰り返していない?大丈夫?
「え?……う、嘘でしょ?」
「本当だよ。こんなところで嘘をつくわけがないじゃないか」
「あ、あの伝説の傭兵……」
……あ、僕ってばとうとう伝説にまでなったのか……?
思ったよりも語り継がれていて草である。
「あいつってば本当に何をやっているんだ……?いくらなんでも強すぎるだろう……」
「マルチに活躍しているっていうレベルじゃないわね」
「……暗殺者、とは……?」
僕の話を聞いて周りのみんなが驚愕の表情を浮かべる。
まぁ、それはそう。
「僕の話はどうでも良いんだよ!そんなことより今、重要なのは魔族の話でしょ……とりあえずはキャサリン呼んでこないと」
「そ、そうだね」
僕の言葉に魔王が頷く。
「それに……僕たち全員で行くわけにも行かないだろう?魔界の方に行く人も決めないと……とはいえ、魔界に行けるようなフットワークが軽い人なんて少ないと思うんだけど」
流石に貴族の人間を魔界に連れ込むわけにもいかない。
「ァ?これってもしかして私が行く流れかしら。こいつとの、旅……?私が?」
ラザリアが自分のことを指さしてそう話した。
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