第33話

「……何者か?」


 僕の言葉に対して魔王は首を傾げる。


「あなたは魔族について……何か知っていると言うの?」


「まぁ……うちの一族は魔族よりも歴史が長いからね……っと。このまま話しても良いけど。それよりも先にこの演目の方が先だね」

 

 僕は言葉を止め、エルフの里の方へと視線を向ける。

 ……ここからエルフの里まで、かなりの距離はあるが……僕の視力だと結構バッチリと見ることが出来る。

 それは魔族の二人も同じであろう。

 

 エルフの里。

 そこは今、魔族たちの襲撃にあっていた。

 その数は500くらいだろうか。

 魔族たちに対抗するのはハイエルフたちとアレリーナ、ミリアだ。普通のエルフたちは全然歯が立たなくて、既に命大事にの姿勢に入っている。

 

 ほとんどのハイエルフたちは長い時を生きているせいで既に心をすり減らし、まともに戦闘出来る子らが少なく、現状戦っているハイエルフはごく一部。

 そして、今戦闘しているハイエルフたちも長い……あまりにも長すぎる時間、戦闘行っていなかったせいで、戦闘の感は鈍りきっていた。

 

 今、この場で活躍しているのはアレリーナとミリアだ。

 アレリーナがデバフと状態異常をバラまきまくり、ミリアが弱った魔族たちへと止めを指していく。

 他のハイエルフたちよりも遥かに二人が活躍していた。

 

 マルジェリアは例外だ。

 一人で300人くらいを相手にしてフルボッコにしている。それに加えて誰も死なないように回復魔法と結界魔法を駆使して、守りきって見せている。

 実に器用なことをする。

 

 これはあれだね。マルジェリア一人で良いやつじゃんか。周りのエルフたち全員足手まといじゃん。


「……あの女、強いわね。私にすら匹敵するかも……」

 

 魔王がマルジェリアのことを見てそうポツリと呟く。

 マルジェリアってば色々と残念だけど……やっぱり実力だけは桁外れに高いんだよなぁ。


「……むぅ……」

 

 首だけとなった魔族の軍団長も……僕の手の中で無双しているマルジェリアを見て苦々しい言葉を漏らしている。

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