第27話
「全く……恐ろしい物体だよ」
しぼんでしまい……小さくなった赤黒い物体を足で潰す。
これで完全に終わりだ。この世界から病魔は消える……というわけにはいかない。新しく罹る人は居ないだろうけど、既に罹ってしまっている人は治らない。
治ることはない。
……エルフは全員治したから良いけど、人間や獣人などの他の種族で罹っている人はまだ治っていない。
僕が世界各地を回って治すことも出来るが、あいにくと僕はそこまで暇ではない。
放置するしかないだろう。
「んーはぁー」
僕はゆっくりと体を伸ばし、息を深く吐く。
「次は……と」
僕はこの後に起こることに思いを馳せる。
そもそも。
僕がここに呼ばれたのは病魔を解決させるためではない。
魔族。
体内に魔石を持ち、尋常ならざる力を保有している存在。
悪魔にすら匹敵するほどの身体能力を持った怪物中の怪物。
そんな相手が一個軍団を引き連れてエルフの里にやってくる。
そんなふうに……宣戦布告されているのである、エルフの里は。
魔族の力は強大……エルフを容易く実力の面で凌駕する。
マルジェリアにも及ぶ実力者も存在していて、ハイエルフたちと互角に戦闘すら行える。
ゲームだと、急にエルフたちがゾンビとなって生前以上の力を振るって魔族ですら倒すようになったことに加え、どうせ放置していても全滅するという理由から、魔族は引いていったのだが、今回はそんなわけには行かないだろう。
確実に。
確実に僕が戦力として駆り出されることになるだろう。
「頑張らないとな」
アレイスター家は対集団戦が苦手である。
その理由は大規模に相手を殺す術を持っていないからだ。
ただそれだけであり、時間をかけさせすればちゃんと全滅させることも出来る。
僕という駒は重要になってくるだろう。
「まぁ……」
元々ハイエルフと魔族は互角。
そこに僕というジョーカーが加わるのだから、割と余裕で魔族に勝つことが出来ると思うけどね。
エルフは戦力にならないので消えてもらって。
アレリーナは先祖返りの女であり、特別に優秀だけど、他のエルフはそうではないし。
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