第26話
エルフの里の治療が終わる。
そうなったら次にやるべきなのは大元を絶つことである。
「これがそうか……」
僕は目の前にそびえ立っている巨大な……赤黒い物体を前に呟く。
赤黒い物体は異様な……そして膨大な魔力を放出し、まるで心臓のようにドクッドクッと鼓動している。
病魔。
これが遥か過去。
封印されし神が齎した世界魔法だ。
「……よくもまぁ、こんなものを近くに置いておこうと思えるよな」
僕は禍々しく、異様な赤黒い物体を前に一言呟く。
この赤黒い物体はエルフの里からほど近い場所に存在している。遠くの移動を制限されているアレイスター家が行けてしまうほどの距離だ。
ハイエルフたちがこの赤黒い物体を研究しやすいように、自分たちが住んでいる場所の近くに置いてあるのだ。
とはいえ……いくら研究のためとはいえこんなヤバそうなものを近くに置いておく ……って結構怖いよな。
例え、病魔が人間に感染しなかったとしても、アレイスター領には絶対に置きたくない。
「さて、と」
僕は転移魔法を発動し、赤黒い物体の上に乗る。
「ふん」
そして腕を思いっきり振り下ろし、赤黒い物体を貫く。
「むにゅ……」
赤黒い物体の中。
そこに存在している巨大な力が僕の中へと流れ込んで、暴れ出す。
……思っていたよりも抵抗が強いなッ!
「第十二階位魔法『我が世界』」
僕は世界魔法を発動させる。
「─────ッ!」
僕の世界魔法と神が齎した世界魔法がぶつかり合い……お互いを食い合う。
侵食し……跳ね返し……混沌と化しながらもお互いにぶつかりあい、強大な力を渦巻かせる。
「……もうわかった」
僕は世界魔法の流れを変更させる。
神が齎した世界魔法の力の流れ、性質……それが大体理解出来た。
最も効率的で確定的であるように自分の世界魔法を操作し、神が齎した世界魔法を侵食していく。
「ふー。……おーわり」
そして、僕の目の前で赤黒い物体がゆっくりとしぼみ始める。
10秒ほどすればその姿を完全にしぼませた。
これで完全に終了だ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます