第25話

「……あ。こ、ここは……?」


「あぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁああああああああああああああああああああ!!!良かったッ!良かったッ!本当に良かった……」

 

 弱々しい声とともに体を起こした男性に女性が抱きつく。

 

「なっ!?なんじゃ……!?」


 男性の方はいきなりの行動に困惑し、女性は泣きはらす。


「ありがとうございます!ありがとうございます!ありがとうございます!このご恩は一生忘れません!」

 

 そして、女性は僕の方を向き、深々と頭を何度も下げた。

 

「うん……じゃあ次の人ー!」

 

 僕はさっさと目の前の男女に退いてもらって、新しい患者さんが来るように促す。


「どうか……!どうかうちの子を!」


「はーい。任せてくださいねぇ」

 

 最後の希望を見るかのような目で僕のことを見てくる女性の言葉に頷き、寝たきりとなっている小さな少女の顔へと手をやり、サクッと『我が世界』を発動させる。


「……ママ?」


「あぁ……!」

 

 僕はもはや見慣れた感動のシーンをぼーっと眺める。

 さっさと退いてくれないかなぁ……ここで抱き合って感動のシーンなんてされても迷惑なんだけど……普通に邪魔である。


 僕は今、病魔に侵されているエルフの治療を行っていた。

 侵されてしまっている人の数は結構多い。その人たち全員を治すのには結構骨が折れる。

 

 しかし、やらないと言うわけにはいかない。

 エルフの里の地獄のイベント。

 全然ヌケないグロ、グロ、グロイベント。

 

 病魔に感染してしまった人が突然起き上がり、ゾンビのように他のエルフたちへと襲いかかるのだ。

 作り出されるのは地獄。エルフの里が壊滅し、里に死体が転がっている……なんて言う地獄が形勢されるのだ。

 きれいな女性が全裸になっている……までは良いのだけども、体の至るところから出血し、内蔵が飛び出て、眼球が外に飛びている人……なんて間違ってもヌク事はできない。


 ハイエルフたちも魔族からの攻撃を受けて大変なことになるし……エルフの里のイベントは本当に地獄でしかなかった。

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