第24話

 あれからしばらく。


「そ、そんなことが……」

 

 半泣き状態のアレリーナから自分の現状を聞いたアレリーナの母親は愕然とした表情で呟く。

 ……まぁ、それも当然の反応だろう。

 自分が何年も眠っていた、なんて話を聞けば驚いて当然である。


「ご……ごめんなさい……迷惑をかけてしまって……」

 

 アレリーナの母親がアレリーナへと頭を下げる。


「良いの……起きてくれたのならそれで良いのじゃ……」

 

 アレリーナが瞳に涙すら浮かべて頷く。


「エルピス様……どうでしょうか?」


「なるほど……良いんじゃないか……個人的にはもう少し甘いほうが良いんだけど……」

 

「……エルピス様は常に甘いほうが良いですよね」


「うん。僕は甘党だから」

 

 アレリーナが自分の母親との感動の再開をこなしている間、僕とミリアがキッチンで楽しく料理をしていた。

 甘いほうが良いという素直な感想を告げていたら、ものすごく非難の言葉を言われる……悲しい。泣きそう。

 人類はもっと砂糖を愛するべきだよ?アレイスター領の領民にずっと砂糖をもーアピールしていたら引かれたよ?

 あの時はしょんぼりなってね。


「なんじゃろう……絶対的なまでの温度差を作らないでほしいのじゃが……」

 

 アレリーナが僕とアレリーナのことを見てそう告げる。


「……え?」

 

 それに対して僕はわかりやすく首を傾げる。


「おっちょうっているなッ!?心の底からおちょっくているな!?」


 アレリーナが牙を剥き、僕を睨みつけてくる。


「そんなに怒らないの……お世話になっているんでしょ?」

 

 アレリーナの母親が今にも飛びかかっていきそうなアレリーナのことを押さえつける。


「お世話になっているのは事実だし……お母さんを助けてくれたのも事実だが……素直に感謝サせてくれないやつなのじゃ!!!こいつはッ!!!少しは空気を読まんかい!」


「無理ですよ。そういう御方ですので」

 

 アレリーナの咆哮に対してミリアがサラッと流す。


「まぁな……アレリーナ。全員治したから寝たきりになっている人を全員集めてきてくれ。一人も残さずだぞ」

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