第21話
「へぇ……ここがアレリーナの家か」
僕はアレリーナの家の前へと立つ。
「……笑うならば笑うと良いのじゃ……誰のよりも貧相でちっこい家なのじゃ……」
アレリーナの家。
そこはお世辞にも豪華で、しっかりとしているとは言えなかった。
ボロボロの木造建築。
周りの家が割ときれいめな木造建築の家なのに対して、アレリーナはびっくりするくらいボロボロ。
格差が凄いことになっている
「大丈夫大丈夫。これくらい全然気にならないよ。少し前に監禁されて、拷問された拷問部屋はよりは全然マシだよ」
「いくらなんでも拷問部屋なんかと比べないでほしいのじゃが!?」
おい。拷問部屋なんかとはなんだ。なんかとは。
実に許せない。憤慨不可避だよ?
「妾の家は……拷問部屋とタメを張れると言うのか……?拷問部屋じゃぞ!?……え?というか……監禁されて拷問されたって……」
なんか一人でブツブツ話しているアレリーナを放置して僕は部屋の中へと入っていく。
「あ、おかえりなさいませ」
地べたで寝っ転がり、ゴロゴロして寛いでいたミリアが僕を見てすくっと立ちあがり、深々とお辞儀してくる。
「うん」
「家主である妾を無視すると言うのか……!?」
アレリーナが慌てた様子で僕の後に家の中へと入ってくる。
「あぁ。おかえり」
「おかえりなさいませ」
「うむ……いや、お主が言うのはおかしいだろ!」
見事なツッコミを披露しているアレリーナを無視して僕は部屋の中を見渡す。
外はオンボロ、中はきれい……なんてことはなく、普通に中もちゃんとボロボロだった。
床も壁も天井も老朽化しているし、キッチンも狭い。
家具なんてほとんどなく、部屋は非常に殺風景だ。
魔法によって建築技術と速度がかなり高くなっているこの世界には珍しいオンボロ家屋だ。
「ふむ……」
そして、部屋の一番奥に一つのベッドが置かれていた。
そこには石像のように固まって寝たきりとなっている女性が横たわっていた。
「あぁ……あれは……妾の母親じゃ」
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