第16話

 巨大な建造物。

 ……その建物の見た目はこれ以上ないまでにシンプルであった。

 中になんか部屋とか、廊下とかがあると思ったのだけど……何もない。

 あるのは巨大な部屋と大きな円卓が一つ。

 大きな円卓に置かれたたくさんの椅子に多くのハイエルフたちが座っている。


「……え?」

 

 なんだろう。

 想像を違うことするの辞めてもらっていいですか?


「おぉ!!!アレイスター家の子孫ではないか!」


「あれの子孫か……感慨深いものがあるな」


「むむ……!そこが見えぬな。しっかりとアレイスター家も成長を続けているようだ」


「小さいわね」

 

「ふーむ……本当にそこが見えぬな……というか、少し違和感が……?」


「あれの子孫がこれなのか……見た目の遺伝子は0だな。実力の遺伝子はおかしくない?なんかあれよりも遥かに強そうなんだけど……」


「私……知らないよ!?こんな可愛い子!誰???」


「アレイスター家……何があったの……」

 

 僕の姿を見てはハイエルフたちが大はしゃぎして、僕のことを取り囲む。

 ……。

 …………。

 というか、おい。

 後、僕のこと小さいって言った奴はどこだ?しばき回してやる。

 お父様もお祖父様も……アレイスター家は身長が高い部類に入るのに何故か僕だけは伸びなかったんだよ。

 だから、僕の格闘術には一部我流が含まれているんだよ。身長が高いことを前提として作られた格闘術が僕に合わなかったから、わざわざ身長が低くても何の問題もないような格闘術を作ったのだ。


「邪魔だよ……」


「「「ッ!?」」」

 

 僕はサクッと転移魔法を発動してここから移動する。

 転移先は円卓の一つの椅子だ。


「なっ……こんな瞬時に転移魔法をッ!?」


「詠唱も魔法陣もなしだとッ!?」


「馬鹿なッ!?」


「うそ……」


「嘘だァ!!!」

 

「ほ、本当に凄まじいな……アレイスター家は。本当に人類なのだろうか……?実は別の種族なのではないだろうか?」


 ……人間扱いしてくれないのは酷くない?

 アレイスター家はちゃんと人間だよ。


「僕がここに来たのはみんなの思い出話を聞くためじゃないんだよ。話を聞きに来たの。……わかって」

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