第15話
ハイエルフが住まう空間。
これまたエルフの結界のごとく……アレイスター家が残したと思われるハイエルフが暮らすための空間。
そこの中央部にある建造物に向かって僕はエフとマルジェリアと一緒に歩いていた。
「……つまらないな」
僕はハイエルフが住まう空間を歩き、ボソリと呟く。
この空間にはほとんど何もない。
一応家らしきものはあるが、住んでいる人がいるようには見えず、廃墟と化している。
これが一軒、二軒であれば別に驚くことではないのだが……全部である。
この空間内にある家は全て廃墟と化していた。
ハイエルフたちは町中で……全裸でそのまま寝っ転がっていた。
食品売り場なんかも当然のように存在しない。
ハイエルフたちは魔法でエネルギーを供給出来るので、食事の必要がないのだ。
まぁ……普通の人間のような生活をしていれば絶対に足りなくなる程度のエネルギー供給出来ないのだが。
ハイエルフたちは基本的には動くことはなく、排他的な生活を送っていた。
「でしょう?……だから、私はここが嫌で逃げ出したの」
「ふん……軟弱な奴らじゃ……」
エフはマルジェリアを見て……地べたで這いつくばっているハイエルフたちを見てボソリと呟く。
「さて……もうすぐ見えてくる。……ふむ」
エフが呟き……そして服を取り出して着替え始める。
「え……?服着るの!?」
「ここの連中は表のような連中とは違う。中の人間も性欲など無いが……己が文明人であるという自負は持っている。お主に興味があるのはこちらの方であろう?表の連中を見て失望はしてほしくはないぞ」
「なるほどね……」
僕はエフの言葉に頷く。
「ここに住んでいるのは邪神がいた時代を生きていたものだ。精神力も……プライドも一人前だ。……アレイスター家のことは当然知っておる。お主に協力してくれることであろう」
「それはありがたいね」
エフの言葉に僕は肩をすくめながら頷く。
うん。そうであったのならば実にありがたいね。表の連中には正直……失望していたから。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます