第14話

「何をしているの!?」

 

 全てのエルフを跪かせた僕の元にマルジェリアが慌てふためいた様子で駆け寄ってくる。


「……?見てわからないの?」


「見たものを信じたくないのよ」


 マルジェリアは辟易とした様子で呟く。


「一瞬……慌てたけどよく考えてみれば大して動揺するような話でもないわね。あなたが常人であれば躊躇うようなことでも平然とやるんだったわね、ちょっとこの世界に浸っていたせいでギアが下がっていたわ……」


「おう。そうか。じゃあさっさと僕に慣れろよな」

 

「えぇ……そうするわ」

 

 僕の適当な言葉にマルジェリアは素直に頷く。


「というか、お前は服着ているのな」

 

 しっかりと服を着こなしているマルジェリアを見て僕はボソリと呟く。


「あっ!?当たり前でしょ!?……裸を見せるなんて嫌よ!?あなたの命令でも却下よ!」


「ふっ。脱がしてやろうか?」


「ァ?あなたが私に一度負けたのを忘れたの?」


「ふふふ。それはそもそも僕が圧倒的に不利な状況だったからだよ。ここは君の城である学院ではないよ?むしろここは僕……アレイスター家のフィールドだと言っても過言ではない。以前のように君に……敗北をみせると思ったら大間違いだよ?」

 

 僕は不敵に微笑む。


「それに……君はあれからどれだけ成長した?『男子、三日会わざれば刮目して見よ』既に極地へと至ってしまっている君と僕とじゃ何もかもが違うんだよ。既に僕は君を超えているんだよ」

 

「へぇ……あなたの言っていることがどれほど正しいのか……見せてもらおうじゃないの」

 

 僕の言葉。

 それに対してマルジェリアの同じように不敵な笑みを浮かべて対抗してくる。


「「ふふふ」」

 

 互いの魔力が高まり合っていく。


「やめんか」

 

 そんな時。

 一触即発だった僕とマルジェリアの頭にげんこつが落とされる。

 ハイエルフだ。

 ……そういえばまだ名前決めていないな。

 名前聞くのも面倒だし、適当にエフとでも呼んでおくとしよう。


「お主らの暇つぶしにつきあわされる周りの人間のことを少しは考えてやれ」


「はいはい」

 

 エフの言葉に僕は肩をすくめて頷く。


「本当にやるつもりはなかったわよ。やりあったらこの場どころかエルフの里にまで影響が出てしまうしね」


「そのとおりだよ……やるつもりなんてないよ。さっさと上の方の、元老院の方へと行こうよ。わざわざアレイスター家が来たんだ。その意味はわかっているよね?」


「あぁ。わかっておる」


「……え?意味?」

 

 首を傾げているマルジェリアのことは無視して僕はこの場所の中心へと向かって歩き始めた。

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