第13話

「はぅわぁ!?」

 

 ハイエルフが住まう空間。

 そこに来るなりアレリーナが大きな声を上げ、恥ずかしそうに頬を染めてうずくまった。

 その真っ赤な表情は両手に隠されている。


「ちっ」

 

 そして、ミリアは心底不快だと言わんばかりに思いっきり舌打ちする。


「あぁ……すまぬのう」

 

 その理由。

 それは至極簡単で、全裸のハイエルフ。

 女性もいれば当然男性もいる。

 そこら辺を歩いている男性も全裸なのだ。


「二人共」 

 

 僕は二人に話しかける。


「せっかくここまで着いてきてくれたけど……一旦エルフの里の方へと戻ってくれないかな?」

 

 僕は二人へと声をかける。

 その理由は簡単で、この場にいるハイエルフたちの姿だ。

 死んだように動いているハイエルフたち。長き年月の中で自我を失っていった者たち。ここにいるのはそんな奴らばかりだった。

 別に死んでいるよう……だけだったら構わないのだけど、厄介なことに自我を完全に捨てているわけではないようだった。

 まるでおもちゃでも見るかのような視線を僕たちへと向けている。 

 

 これはちょっと危険かもしれない。

 こんな空間に二人を置いておくのには抵抗がある。


「わ、わかりましたぁー!!!」


「それでは失礼します」

 

 二人は僕の言葉に素直に頷く。 

 アレリーナなんかは動揺しまくりである。

 空間魔法を発動させて、二人をエルフの里へと返す。


「さて、と」

 

 僕はこちらに不躾な視線を送ってくるハイエルフたちの方へと視線を向ける。

 ふふふ。

 基本的に僕は他人を馬鹿にするのは好きだけど、他人から馬鹿にされるのは嫌いなんだよ。

 相手はアレイスター領に対して何の影響も及ぼえないクソ雑魚。

 我慢する必要もない。


「やりすぎないでくれ……」

 

 隣から聞こえてくる辟易とした声を聞かなかったことにして


「ふー」

 

 僕は魔力を開放し、この空間を揺らす。

 

 ビシッ

 

 この空間に亀裂が大きく入り、空間内が不安定になってしまうほどに。


「あぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁあああああああああああああああああああああ!!!」


「なんッ!?」


「魔法で!?」


 それに対して慌てふためくハイエルフたち。

 ふふふ……いい気味じゃないか。




「騒ぐな」




 僕はこの場の空間を破壊し、再び自分でこの空間を再構築する。

 これでよし。

 たった今からここが僕の世界だ。僕は神だ。


「さっさとひれ伏せよ。全裸ども」

 

 僕の言葉は絶対。

 この空間内の物理法則は、現象は、理は、全て僕の思うがまま。


「くくく」

 

 こんなふうにたくさんの全裸ハイエルフたちを土下座させることも可能なのだ。

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