第10話
「あっ……」
僕の空間魔法。
それはエルフの里を覆っている結界を視認させるようにして……そのまま結界は木っ端微塵に破壊された。
「よし、っと」
「な……な……な……」
結界を木っ端微塵に破壊した僕の隣に立っていたアレリーナが体を震わせる。
「何をしておるのじゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁあああああああああああああああ!!!」
そして、大きな声で絶叫した。
「うるさい」
僕はそんなアレリーナの頭に手刀を落とす。
「うるさいじゃないわ!ボケェ!!!
それでもアレリーナは僕へと噛み付いてくる。
「自分で何をしたのかわかっているのか!?」
「なぁに。先祖が作った出来損ないを破壊しただけだ。あんな出来損ない。アレイスター家の恥だね」
「で、出来損ない……」
あの結界はアレイスター家が普段使いする適当な魔法よりも精度が劣る程度の魔法でしかない。
今であればもっと素晴らしいものが作れる。
アレイスター家は進歩し続けているのだ。
「勝手な押し売りだよ。アレイスター家流の押し売りだよ……もっと良い結界を使わないか?既にあるのは壊れたし、却下出来ないよね……ふふふ」
「……り、理不尽……むちゃくちゃだ」
僕の言葉にアレリーナがドン引きしたかのような声を上げる。
「この程度で驚いていても仕方がありませんよ。この程度、未だジャブです。ジャブジャブです。もっと強いストレートが多分この後出てきますよ」
学院生の中で、一番と言えるくらい一緒にいるミリアがアレリーナに向けてしみじみと告げる。
「え、えー……」
その言葉。
ミリアによって告げられた言葉を聞いたアレリーナは僕の方へ、畏怖とドン引きの視線を向けてくる。
畏怖とドン引きって共存するんだね。
ふふふ。
無茶苦茶にでもならないといけないのだよ。
ゲームのように複雑で回りくどく数々のイベントをこなしてエルフの里に入るなんてノーサンキューである。
「さて、と。さぁ……侵入と行こうじゃないか」
僕は圧倒的なまでの魔力を漂わせてエルフの里へと入っていく。
ハイエルフならともかく……エルフ程度であればただのクソザコナメクジでしかない。
好き放題やってやろうじゃないか。
何もしないなまま……ゲーム通りにイベントが進行して、あの地獄絵図になるよりはマシであろう。
「はわわ……」
口元を抑え、不安そうな、心配そうな声を上げて僕の後ろを追っかけてくるアレリーナ。
そして、安心しきっている。
何の警戒もしていないような表情を浮かべているミリアがその後についてきた。
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