第9話
「さっさと破壊しようか。これ」
僕はエルフの里を覆っている結界の方へと視線を向ける。
「……え?」
僕の言葉。
なんてこともないかのように告げた僕の言葉。それに対してアレリーナが信じられないものを見るかのような視線を向けてくる。
「え?壊す……?これを?え?わ、妾はこの結界こそがエルフを守っているのだと聞いているのじゃが……」
「あぁ……たしかにそうだね」
僕はアレリーナの言葉に頷く。
「エルフの里の結界ってものすごく精密で、色々な効果があるんだよ。エルフ以外の種族を寄せ付けない。ってう極端な効果まであるんだよ」
「……そ、そんなのものまであるのか」
僕の言葉にアレリーナが驚く。
エルフの結界が作られたのは遥か昔。
当時を生きていたエルフたちは長い年月を生きて自らの技を磨き、魔力を鍛え上げて自分という存在を更に一歩上の存在にまで押し上げたハイエルフとなっている。
マルジェリアと唯一の例外あるが……ハイエルフは人前に出ることはない。
そのため、エルフの里に貼られている結界について正確な情報を持っているエルフは無きに近いのだろう。
「そうだよ」
「……ますます『え?』なのじゃが?そんなものを壊そうとしているのか?壊せるのか?」
「よゆー」
「……やっぱりエルピスはどこか壊れていると妾は思うぞ」
「最強だからね」
圧倒的なまでの天才が誰よりも努力した存在が僕なのだ。
そこら辺の生命体とは同じにしないでほしい。
空間魔法の精度も、威力も上がっているし。今ならマルジェリアに例えバトルを挑まれたとしても勝てるだろう。
「大丈夫だって。壊しても作り直せるから」
「ほ?」
僕の言葉にアレリーナが変な声を上げる。
「つくり……なおせる?妾はエルフの結界は遥か昔、神によって与えられたという伝承を聞かせてもらったぞ?」
「君の言っている神は僕の先祖だよ。このエルフの結界を作ったのはうち。アレイスター家の先祖。アレイスター家の最高傑作である僕が作れないわけがない」
「ほ?」
僕の言葉にアレリーナが変な声を上げる。
「ちょ……え?アレイスター家って確かゴミのような……使えない一族ではなかったか?妾の覚え違えか?」
「あぁ。それはデマだよ。遥か昔から続く、長い歴史の持ったアレイスター家は暗殺家だからね」
「ほ?」
僕の言葉にアレリーナが変な声を上げる。
「うし!じゃあ……壊すか」
僕は魔力を練り上げ、空間魔法の発動準備を行う。
「ちょっ……!待っ!」
「ほい」
空間魔法が発動し……目の前の空間が歪んだ。
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