第35話

「さて、と……」

 

 僕は後ろに振り返って周りの方へと視線を送る。


「けが人はなし。ちゃんと守ってくれたようだな」

 

「えぇ……当たり前でしょ?私を舐めないでよね?」

 

 僕の隣に立っている生徒会長が僕の言葉に自信満々な様子で告げる。


「本当にすごかったよ!襲いかかってきた多くの人たちを一瞬で黒焦げにして、一網打尽にしちゃったんだから!そしてものすごく強い男とものすごい戦いを繰り広げていたんだよ!!!凄いよね!胸アツだったわよ!私もあんなにふうに戦ってみたいものね」

 

 キャサリンもまた目を輝かせて生徒会長のことを褒めた。


「……そのものすごく強い男をエルピスは瞬殺したんだけど……。やっぱりエルピスってば他とは次元が一つ、二つも違うんだね」

 

 それは当たり前だよ。

 アレイスター家を他の人間と同じレベルで考えてもらっては困るよね。

 天使や悪魔ですら超越するのがアレイスター家だからね。

 悪魔と最前線でずっと戦ってきたのがアレイスター家なんだよ。邪神と悪魔に反抗した人類戦力の最高戦力として活躍していたのがアレイスター家の先祖様だからね?


「そうか……お疲れ様。助かったよ。ありがとね」

 

 僕は生徒会長の頭を撫でて、それを労らう。


「ふふふ……こうして素直に褒められるのも嬉しいものだな」

 

 生徒会長が僕に頭を撫でられて嬉しそうに微笑む。


「うし……もう襲われることは無いと思うよ。早く帰ろうか」


「……やっぱり襲われること知ってたんだね?知っていたのなら教えてよ……本当に」

 

 僕の言葉に対して生徒会長が不満の言葉を漏らす。


「別に良いだろ?無事に終わったんだから。帰ろうぜ」


「えぇ……そうね」


「帰るんで、良いよね?」


 僕は放心していたマルボリへと声をかける。


「あっ……!はい!大丈夫です!今、準備しますね!……何だったんでしょうか?」

 

 マルボリは僕の言葉に頷いて慌てて動き始めた。

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