第34話

「ガァァァァァァァァァァァアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!」


「さっさと燃えろッ!!!お前みたいな怪物に攻められる趣味はないんだよ……!既にご主人さまが居るんだよッ!私にはッ!」

 

 閃光が走り、業火が踊る。

 地面がえぐられ、熱しされ、暴風が荒れ狂う。


「大丈夫かー?」

 

 僕は馬車の方で必死に戦っている生徒会長へと話しかける。

 馬車の周りに転がっているのは黒焦げになった男、女の数多くの死体。

 生者として残っているのは生徒会長とキャサリンとマルボリ。 


「ガァァァァァァァァァァァァアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!」

 

 そしてまるで怪物のような巨漢だ。


「ガァァァァァァァァァァァァアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!」

 

 その見た目は辛うじて人間のように見える。

 だが、あくまで辛うじてだ。

 身長は3mを遥かに越えていて、体重は100kgなんてものじゃ全然機会ないだろう。普通に四桁くらい言っているのではないのだろうか?

 大きすぎるその体は分厚く、太い筋肉に覆われていて、ぶっとい血管が浮き上がっている。

 ハゲ散らかした頭なんて気持ち悪いことになっている。

 だが、そんな体よりも目を引くのはその右手だ。

 異様なまでに長く、デカい右手。

 地面までに届きそうなその巨大な手の色は赤黒く、その造形は非常に禍々しい。

 その腕に備え付けられている指からは異様なまでに長く鋭い爪が伸びている。

 

「ガァァァァァァァァァァァアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!」


「うるさいよ」

 

 僕はピーピー騒ぐ巨漢を思いっきり蹴り飛ばした。


「ふー。スカッとした」


「ふふふ……」

 

 巨漢と一生懸命戦っていた生徒会長が僕の方へと笑い声を送ってくる。


「いきなりすべてを私へと放り投げて……勝手にアルミスと居なくなってすぐ私にすることがそれ?それなの……?」

 

 生徒会長が不満を顕にして僕に向けて言葉を向けてくる。


「でも興奮するでしょ?」


「そりゃもちろん」

 

 股をもじもじとさせた生徒会長が僕の言葉に即答した。


「ガァァァァァァァァァァアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!」


 僕に蹴り飛ばされて遠くにまで吹き飛んでいた巨漢が僕の方へと向かって走ってくる。


「あぁ。君はもう死んでいいよ」

 

 僕の片目が紫紺の光を輝かせる。

 巨漢の首はあっさりとその姿を消す。

 

「……ガァ?」

 

 胴体との繋がりが無くなって自由になった頭が転がり……胴体が大きな音を立てて地面と倒れた。

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