第31話

「……ァ」

 

 僕は目の前にいる悪魔へと肉体の死を与え続ける。

 一回、十回、百回、千回、万回……無限の死を与え続ける。

 それでも、目の前の悪魔は再生して復活し続ける。

 ふぅむ……悪魔という存在の実験には最適だな。

 こうして殺しまくると、悪魔たちが割と人間と同じように普通にその体を朽ち果てさせることがわかる。

 まぁ、朽ち果てた体は普通に復活するんだけど。


「ハァァァァァァァァァァアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!」

 

 何も出来ずに僕のサンドバックになっている悪魔から視線を外して、一生懸命悪魔と戦い、激闘を繰り広げているアルミスへと視線を送る。


「煌剣ッ!!!」

 

 アルミスの手元に巨大で真っ白に光り輝く剣が出現する。


「ァァァ」

 

 それに対抗するように悪魔もまた、手元に巨大で真っ黒に光り輝く剣を出現させる。


「シッ!!!」


「──────ァ」

 

 白と黒。

 二つの煌剣がぶつかり合う。

 周りの木々を破壊し、荒れ狂い、膨大なエネルギーを持って暴れさせる。


「派手だなぁ……」

 

 僕はアルミスと悪魔の戦いを眺めながらボソリと感想を漏らす。

 煌剣。

 それは天使と悪魔が使える強力な魔法だ。

 天使も悪魔も基本的にはこの煌剣を使って戦うことになる。 


「遅いッ!!!」

 

 アルミスが悪魔の一閃を回避し、煌剣を振るう。

 振るわれた煌剣はいともたやすく悪魔の腹を裂く。


「……ァ」

 

 悪魔の腹から黒い、ドロドロとしたものが流れ落ちていく。


「ヤァ!」

 

 アルミスが追い打ちをかけるように煌剣を振るう。

 そして……それと同時にアルミスは魔法を発動させる。


「ァァァァァァァァァァァァアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア」

 

 しかし、アルミスの一閃は悪魔の煌剣によって防がれる。

 

「ァ!!!」


 そして悪魔はアルミスの腹を蹴り飛ばした。


「クッ……」

 

「ァァァァァァァァァァァアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア」

 

 吹き飛ばされた、そんなアルミスへと追い打ちをかけるように悪魔が地を駆け、煌剣を振るう。


「……ァ?」

 

 振るわれた煌剣……それは確実に目の前にいるアルミスを切り裂いた。

 ……しかし、手応えはなかった。


「幻術よ」

 

 悪魔が切り裂いたアルミス……それはアルミスの作り出した幻影でしかなかった。


「さようなら」

 

 アルミスが煌剣を振るい……悪魔の首を落とした。


「……ァ」

 

 首の落とされた悪魔はその体を黒い液体へと変えて地面へと落ちた。

 地面に黒いシミがゆっくりと広がっていく……。


「ふー」

 

 アルミスが息を深く吐いた。

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