第26話
「……はぁー。何で知っているのよ。寸分の狂いもなく、完璧に」
アルミスが深々とため息をつく。
その表情はこれ以上ないまでに歪んでいる。
自分の正体は誰にも知られていないと思っていたのだろう。僕に感づかれているとは思っていただろうが、ここまではっきりと知られているとは思っていなかっただろう。
「ま、人類は君の想像以上の速度で成長した、ってわけだよ。君がゴタゴタしている間にね」
「そうね……もう私なんか要らないんじゃないかしら?」
ボソリと。
アルミスは少しだけの哀愁を漂わせてそう言葉を漏らした。
「まぁ……僕がお前に話したいことは悪魔が居るから気をつけてね?ということだよ」
「えぇ。それは任せてちょうだい。悪魔なら私が……必ず撃滅して見せる。私はそのために居るのだから」
「……そうだねぇ」
覚悟に染まったアルミスを見て、僕は何とも言えない感情を浮かべながら頷く。
「任せるよ。人間に悪魔は殺せないからね」
「えぇ。任せてちょうだい」
僕の言葉にアルミスが自信満々に頷く。
……まぁ、別に僕は悪魔であっても殺すことが出来るけどね。
「じゃあ……さっさと戻るぞ」
「えぇ、そうね。……あぁ。そうだな」
アルミスが僕の言葉に頷いた。
「ほいさ」
僕は空間魔法を発動させる。
自分という存在を一つ次元を上げる。
それから僕が作った空間から元の空間へと戻った。
■■■■■
「わっ。戻ってきた」
サクッと戻ってきた僕とアルミスを見て生徒会長が驚きの声を上げる。
「いきなり居なくならないでよ!もぉ!」
キャサリンが僕の方へと突撃してくる。
「あうっ!?」
そんなキャサリンを僕は手を使って止める。
「えぇっと……な、何か問題があった、ということでしょうか?」
マルボリが困惑のまま、僕とアルミスに尋ねてくる。
「いや、問題はないから安心しろ。君が気にすることでもないよ」
そんなマルボリに対して僕はそう答える。
僕の答えに対してアルミスが少し驚いて僕の方へと視線を向けてくる。その後、すぐに納得したかのように頷いて引き下がる。
悪魔のことをこの人に話すのは得策ではない。
「帰るのであればさっさと帰ろうではないか。帰りに準備など必要ないであろう?」
「えぇ……そうですね。少し釈然としませんが、早く帰りましょうか。ここで商談することもないですし」
マルボリがそう言葉を話し、ゆっくりと腰を上げて立ち上がった。
……相変わらず。
ずっと思っているけど身長高いな……僕とマルボリの身長差エゲツないぞ……。
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