第24話
「い、い、い、いきなりなんだよ!?」
僕の特殊空間内に引きずり込められたアルミスが狼狽して辺りを見渡し始める。
「……どこ?ちょっと待て?俺をここに連れ込んできたエルピスは何処だ?」
そして首を傾げる。
「ァ?なんで見えていないんだ?」
どこもくそも普通にお前の前に立っているんだけど?
「ッ!?声は聞こえている!?」
どうやら僕の声は届いたのか、アルミスが一人狼狽している。
僕は一人困惑している。
姿は見えないのに、声は聞こえている……え?一体何?
「あっ……」
そして今の自分の状態に気づく。
「ごめん。一個上の次元にいたわ」
僕は次元を超越する空間魔法を解除する。
そうか。そうか。ここの世界の僕がいるのは二次元じゃなかったか。
うっかり。うっかり。二次元じゃなくて三次元に居たわ。
二次元僕がいる空間にアルミスを引きずり込んだつもりだったんだけど……。
僕は自分を100個くらいにわけてバラバラの空間に、バラバラの次元に配置している。
もし殺されてたとしても一つ壊されるだけで、残機が100から99になるだけ。残機があるので普通にひょっこりと復活出来る。
僕、オリジナル第十二階位魔法『分霊空間』の効果である。
「……どういうこと?一個上の次元に居たって」
アルミスは突然と現れた僕には驚かず、ただただ呆れたように言葉を漏らした。
「単純な話だよ。さっきまで三次元に僕はいたの。だから、二次元にいる君では認知出来なかったの」
僕の実にわかりやすくて単純な説明。
次元、という複雑な概念を知らなくては理解出来ない僕の説明。
「お前は神か?」
それに対してアルミスが素直な感想を漏らした。
「そこまでの力はないな。単純に神よりも遥かに力が劣る」
「いや、神より力が上だったらドン引きだよ……それで?俺をこんなところに呼んで一体何のようなんだ?」
「あぁ……帰りについての話をと思ってね」
「帰り……?」
僕の言葉にアルミスが疑問符を浮かべる。
「帰りになんかあるのか?」
アルミスの疑問。
「うん。悪魔が出てくるよ」
それに対して僕は実に単純でわかりやすい答えを返す。
「ァア?」
悪魔。
その一言を聞いたアルミスが一瞬にして怒りを爆発させた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます