第23話
「まぁ……僕の正体になんかお前が気にすることもでもないよ」
僕はマルボリの方へと視線を向けて告げる。
この世界には知る必要のないこともあるのだよ……ましてや君は特にね。
「さて、これでもうやることは終わりかい?」
「え?……あ、はい。そうですね」
僕の疑問の声にマルボリが頷いた。
「じゃあ……あとはもう帰るだけかぁ」
「はい」
僕の言葉にマルボリが頷く。
「結局何もなかったな」
アルミスが気の抜けた声を上げる。
「一応帰りもあるのだからしっかりとすることね」
そんなアルミスに向けて生徒会長が気を引き締めるように告げる。
「あぁ……わかっているよ。依頼は帰るまでだからな」
「ははは。……ですが、もう既に重要な商談は終えましたから。私が死んでも商談が消えることはありません。最悪の場合でしたら私なんかを見捨てて逃げてもらっても構いませんよ。足手まといさえ居なければみなさんであれば何の問題もないでしょう?」
マルボリが自虐のような笑みを浮かべて、淡々となんでもかのようにエゲツないことを話す。
……卑屈過ぎるのだ。自分の命を消耗品かのように考えていやがる。
「別に足手まといが一人、二人居たところで僕らなら何の問題もないよ。護衛依頼で、護衛対象を見捨てて逃げるのはやばいだろう」
「えぇ。そうよ。だからそんなこと言わないで頂戴」
僕の言葉に生徒会長も同意する。
アレイスター家は必ず受けた依頼を遂行する。
依頼を果たせない、なんてことはあり得ない。
……護衛依頼なんて暗殺一族であるアレイスター家の専門でもなんでも無いんだけどね。
アレイスター家に暗殺出来ない存在は絶対に居ない。
これだけは断言出来る。例えどんなアニメのチートキャラであっても殺せるのがアレイスター家なのだ。
どんな敵も暗殺出来るのだ。護衛対象の命を狙っている相手を先に暗殺してしまえば解決だぁー。
「それは頼もしいですね」
「あぁ。マルボリは僕らの護衛対象となった瞬間に依頼終了まで絶対の安全が保証されているんだ。いちいち卑屈になる必要はない」
卑屈になってしまうほどの悪評を流して、追い込んだ僕が言うも何だけど。
「さて、と」
僕はアルミスの方へと視線を送る。
「なぁ……アルミス。ちょっと僕と来い。二人きりで話がある」
「は?……え?な、何……?」
僕のいきりの言葉にアルミスが狼狽えて、一歩退く。
「悪いが拒否権はないから」
「あばっ!?あぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁああああああああああああああああ!!!」」
無理矢理にアルミスを僕の空間へと引きずり込んだ。
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