第20話
「おぉー」
キャサリンは売り物をを見て歓声を上げる。
今、僕たちが居るのは装飾品店である。
このお店には海で幾らでも取れる貝の装飾品や、海外の珍しい装飾品など。色々なものが置かれている。
「どれもきれい……」
キャサリンはこういうお店に来るのは初めてなんだそうだ。
初めて見る装飾品の数々にキャサリンは目を輝かせて感嘆の声をもらしている。
「ふむ……」
僕は海外の珍しい装飾品なんかを眺める。
ほとんどのものは見たことあるようなものだが……一部全然見たこともないものなんかもある。
……フォレ族の装飾品?フォレ族って何?初めて聞いたんだけど……。
あぁ、エルフの一族なのね。あそこは江戸幕府ばりに鎖国しているから、全然そこの一族とかは詳しくないわ。
こんなものも売っているんだな……実に興味深い。
「あぁ、キャサリン」
僕はキャサリンの方へと視線を送る。
「好きなものを買えよ。金なら出してやるから」
キャサリンは大したお金を持っていない。基本的に食費なども全部僕が出してあげている。
一応キャサリンにはキャサリンの分の食費はキャシーさんから貰っていると伝えているけどね。
少し前。
まだ僕が生まれるよりも前にアレイスター家がキャシーさんにお世話になっている。恩ある人からお金など受け取れない。
「ほんと!?」
「あぁ」
僕はキャサリンの言葉に頷く。
「じゃ、じゃあ……エルピスくんに選んでほしいな……私に似合うの」
「ん?あぁ。それくらいなら構わんぞ」
僕は売られている物を眺める。
買うならヘアピンだな。キャサリンはなんかボロボロのヘアピンを使っていた。お金が無く、幼少期から使い潰しているらしい。
「これだな」
僕は以前行ったことのある国のヘアピンを手に取る。
「白色でキャサリンのきれいな黒髪に映えるだろう。これで構わないか?」
「もちろんだよ!」
僕の言葉にキャサリンが頷く。
「エルピスくんが選んでくれたものに文句なんてあるわけがないじゃん!!!」
「そうか。それなら良かった」
僕はサクッと会計を済ませる。
「ほら」
キャサリンの方へと僕はヘアピンを向ける。
「……エルピスくんがつけて?」
「あぁ、良いぞ」
僕はキャサリンの髪を止めていたヘアピンを取って、新しく買ったヘアピンをつける。
「これでいいか?」
「うん!」ありがと……あ、そのヘアピンは貰っていいよ?」
「要らんわ。何に使うんだよ」
「私の匂いがするよ?」
「いらねぇよ。それに、嗅ぎたかったら直接嗅ぐ」
「っ!?嗅ぐ!?」
キャサリンが頭を下げて僕の方に髪を擦りつけてくる。
「邪魔」
「あいた」
僕はキャサリンの頭へと手刀を落とした。
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