第16話
「ァァアアア!!良い!め、目の前でイチャイチャされるのも……ハァ……ハァ……ハァ……」
僕の目の前に座っている生徒会長が表情を真っ赤に染めて鼻息を荒くして呟く。
「それでね!それでね……街ってすごいんだよ!?人がたくさんいるだけじゃくて、ものもたくさん!その中でもおしゃれするためのものが多いの!」
そんな生徒会長には一切動じないどころが完全なる無視を決め込んでいるキャサリンは僕に話を振り続ける。
「……私もそういうの欲しいな……なんて思ってみたり?」
キャサリンは上目遣いでおずおずと尋ねてくる。
「あぁ……そうだな。いつか買ってやろう」
それに対して僕は了承の言葉を口にする。
「わーい!!!」
僕の言葉に対してキャサリンは全力で喜びを表現する。
「……なんだ?このカオス」
一人。
傍観者としてこの状況を傍から見ていたアルミスがボソリと呟く。
カオスを作り出しているのは僕じゃないぞ?……というかカオスが生まれている原因のほとんどが生徒会長だろ。生徒会長こそがすべての元凶であり、僕は悪くない。
「というか今の俺たちは護衛として動いているんだぞ?……そこらへんはしっかりと考えて動いているのか?」
「「そこのところはしっかりと行っているから心配ない」」
アルミスの言葉に対して僕と生徒会長が声を揃えて頷く。
依頼を受けた以上、失敗はあり得ない。アレイスター家が依頼を完遂出来ない……なんてことは絶対にありえないんだよ。
「あ、そうなのね……」
僕と生徒会長の言葉にアルミスが頷く。
「ははは……頼もしいですね」
御者台に座って馬車を操っているマルボリが口を開く。
「生徒会は学院の生徒のトップが集まるような組織だしな」
「私もエルピスも異常なまでの強さを持っているしね。まず何か問題が起こることはないわね」
生徒会長がそう断言する。……この世の絶対なんてないが、ほぼ絶対のようだろう。
「そうなんだよ……生徒会長は知らないけど、エルピスが化け物なのは知っているんだよ。……本当に強いから」
キャサリンがしみじみと呟く。
「まぁ、実力だけは良いからな」
「おい」
僕はアルミスの言葉に噛みつく。
「はってなんだよ。は、って」
「事実だろ?実力だけのような男ではないか」
「は?そんなことないが?」
「いやいや」
僕とアルミスは笑顔を表情に貼り付けたまま会話を続ける。
全く。はってなんだよ!はって。僕は頑張っているんだぞ?は、って言われる心当たりはものすごくあるけど。
馬車は騒がしいままに進んでいった。
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