第15話
日が落ちて登っている朝。
「めんどくさ……」
「おい。お前の贖罪なんだろう?真面目にやれや」
「……え?贖罪って何?」
僕、アルミス、キャサリンはダラダラとお喋りをしながら街の道を歩いていた。
「キャサリン。知らないくて良いこともあるんだよ?」
「あっ、はい」
僕の言葉にキャサリンが素直に頷く。
ダラダラと食べ歩きをしながら集合の場所の方へと向かっていた。
「遅いんだけど?」
既に目的の場所に来ていた生徒会長が僕たちのことを見て不満の声を上げる。
「あぁ?時間ちょうどだろうが」
「5分前が基本でしょ?そんな事も知らないの?」
「知っているが守らないんだよ?」
「……ひっど!私は会えるの楽しみにしてんだよ……?」
「放置プレイだ。楽しかったか?」
「当たり前じゃない」
僕の言葉に生徒会長が即答する。
「……えぇっと……それでは出発しても良いのでしょうか?」
馬車の御者台の方に先に座って待っている依頼人が僕たちの方へと声を向けてくる。
既に出発のための準備を終えているようだった。
「あぁ……大丈夫だ」
僕は自分の力へと封印術を掛けて馬車の方へと乗り込む。
ちゃんと封印しておかないと馬が全力逃亡するからね。アレイスター家は速く移動することが出来ないのだ。
「お前が一番最初に乗るのかよ……」
僕に続いて生徒会長、アルミス、キャサリンが馬車に乗り込んでくる。
隣に座っているのがキャサリンで、前に座っているのが生徒会長。生徒会長の隣にいるのがアルミスである。
「では……出発させますね」
全員乗り込んだことを確認した
「あ!」
その時にキャサリンが大きな声とともに手を上げる。
「依頼人さんの名前は何?私まだ聞いていないや!」
あぁ、そうだね。キャサリンは依頼人の名前を聞いていないよね。
ついでに言うと僕も聞いていないよ。アルミスと生徒会長は知らん。
「あぁ……そういえば生徒会長さん以外には言っていませんでしたね。私はマルボリって言います。どうかよろしくお願いしますね」
深々と……その大きすぎる体を前へと倒して依頼人、マルボリはお辞儀した。
「マルボリさんですね!私はキャサリン!よろしくね!」
マルボリに対してキャサリンは笑顔で握手を求める手を差し出す。
「はい。よろしくお願いしますね」
それに対してマルボリも手を伸ばして、キャサリンの方へと手を伸ばして握手を交わした。
「……ん?」
そんなマルボリとキャサリンの対話の傍ら、マルボリの名前を聞いたアルミスがゆっくりと首を傾げた。
「それでは行きますね」
アルミスのそんな仕草には気づかなかったマルボリは馬車を出発させた。
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