第12話

「え……?嘘やろ?」

 

 アルミスが信じられないものを見るかのような視線を僕の方へと投げかけてくる。


「事実だよ?」


 そんなアルミスの言葉に対して僕は平然と答える。


「えぇ……お前ってばやっていることえげつなすぎるだろ……まぁ、でもあのレーヤ商会なら……」


「あ、言っておくけどレーヤ商会は別にあんな悪評が流れるような商会じゃないよ。流れた悪評は全部僕のでっち上げだよ」


「最低だッ!?想定以上に最低だった!?」


 僕の言葉にアルミスが驚愕して声を張り上げる……まぁ、それも仕方ないだろう。実際にやっていることはエゲツないし。


「な、なんでそんな酷いことしたんだよ……」


「売っているものが不味かった。別にそれが違法なわけでも世の中に悪影響を及ぼすというわけではないけど、レーヤ商会が売っていたものが広まると不味かったからあらかじめ潰させてもらったよね」

 

 レーヤ商会のメインとも言える商品だった。普通に交渉した場合は難航するだろうし、納得させるにはこちらの事情を話さなくてはいけなくなるだろう。

 だが、こちらの事情を話すわけにもいけないので申し訳ないけど滅んでもらった。


「えぇ……だからってそこまでする?」

 

 それに対してアルミスがドン引いたような表情を見せる。


「お前だって自分のやることのためなら何でもやるだろう?」


「……いや、まぁ、そうだけど……」

 

 アルミスは僕の言葉に対して何とも言えない表情を浮かべて頷く。

 実際にアルミスも結構エゲツないことをやっている。

 世界は綺麗事だけでは回らないし、己の目的のためなら何だってするような人間も数多くいる。

 上流階級の人間であれば庶民の犠牲なんて度外視して行動する人ばっかりだ。

 ふふふ。所詮いつの時代であっても庶民たちは、弱者たちは世界の上流階級の人間によって利用されて搾取され続けるのだよ……。

 

 それは例え僕が貴族などの特権階級、王政を滅ぼして民主主義を打ち立てたしても変わらないだろう。

 ……まぁ、それでもマシにはなると思うが。


「君たちっていいコンビだよねぇ……。底の知れなさと本性の知れなさがそっくりだよ。私も結構腹黒い自信があるけど……君たちを見ていると自分がいかにちっぽけな存在であるか思い知らされるよ。」

 

 僕とアルミスのやり取りを見てボソリと生徒会長が呟いた。

 まぁ、それはそうだろう。

 僕もアルミスも普通の一般人にはとてもじゃないが理解出来ないような領域に立っているのだから。アルミスが何者なのか、そのヒントですら生徒会長は掴めていないだろう。


「いや……こいつと一緒にされるのはごめんなんだが……」

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