第10話

「……おいし」

 

 僕はパフェを食べながら依頼人の話を聞く。


「私は今、とある商会で働いているのですが……明日、仕事の関係で王都を離れて港町にまで向かうんです……そこで怖いのは私のことを日頃から狙っている人たちです。あの人たちはいつも私が少し人通りの少ないところに行くだけでも攫おうとしてくるような人たちなのです。王都ではたくさんの騎士たちが徘徊しているので大胆に動いてくることは無いのですが、移動中なら……大胆に襲われる可能性が……」

 

 王都は多くの貴族が住んでいる場所であり、五賢会の本拠地である。

 そこで犯罪が起こるのを五賢会は容認しない。

 そのため、必要以上の人員が割かれて治安維持のために騎士たちが動いてるため、犯罪しにくい環境となっている。

 依頼人に害を攫おうとしている人がビビるのにも納得する。それくらいには王都の治安は良い。

 連日窃盗などをした犯罪者が死刑されているような街だけど。


「なるほど……」

 

 依頼人の言葉に生徒会長が頷く。


「それで?誰から狙われているか、それはわかるのか?」


「すみません……わかりません」

 

 巨人族の先祖返り……一体狙うのであればどの組織だろうか。この国ではないよな。巨人族の有能性に気づいて攫ってでも手に入れようとする者はいないだろう。

 ほとんどの魔法使いが授業で習ったことを行うような奴らだ。自分で考えて動いて精力的に動くわけがない。


 裏組織でも……まぁ、ないだろう。ほとんどの裏組織は僕が牛耳っているけど、そんな話は聞いたことがない。


 となってくるとカルト教団、魔法協会、どっかの国。ここらへんとなってくるか。……どっかの国だった場合は『姿なき王』が動くことになりそうだな。

 カルト教団を潰すのは騎士がやるだろうし、魔法協会はただ全世界の魔法使いたちが魔法の深淵を覗くために協力しあっている組織である。これを潰すのは無理だ。不可能。関わっていそうな魔法使いを順番に殺していくことしか出来ない。

 完全な根絶やしにならないだろう。

 なので……出来れば魔法協会主導じゃないと良いんだけど……大体こういう時って最悪なパターンになるんだよね。


「なるほど……そうか!」


 生徒会長はそれに対して嬉しそうに頷く。びっくりするくらい嬉しそうである。


「……もう少し真面目に聞いてやろうや」

 

 後ろのアルミスがボソリと呟く。


「あぁ……それで?あなたが働いている商会は何処なのかしら?」


 生徒会長が至極当然の質問を投げかける。 


「あぁ……レーヤ商会です。知っているでしょうか?」


 はんにゃ!?

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