第7話

「起きろ!……起きろってば!」

 

 僕が気持ちよく眠っていたところ、アルミスによって無理矢理に起こされる。

 ……あぁ……そんなに僕の体を揺さぶるな、アルミス。


「……何さ」

 

 僕はだるくて動かない体をゆっくりと体を起こしてアルミスのことを睨みつけっる。

 無視していたらアルミスも諦めてくれるかな?って期待していたんだけどそんなことは決してなかった。

 ものすごく粘ってきやがった。びっくりするくらいに粘ってきやがった。なんと忌々しい。

 ……僕ってば結構疲れているのだけど……。


「依頼だ。依頼。起きろ」


「……は?依頼?」

 

 僕はアルミスの言葉に首を傾げる。

 え?何?暗殺の……?いや、そんなわけないか。アルミスの方に暗殺の依頼が行くわけがない。アルミスを仲介して僕の方へと依頼を送ってくるとか狂気でしかない。普通にドン引き案件。


「なんで僕に……?別に僕は依頼の引き受けなんかやっていないけど?」

 

 基本的に学院の生徒は経験を積むために街の人からの様々な依頼を受ける。

 ……まぁ、街の人とか言いながらも貴族出身ではない騎士連中が依頼を精査して学院の方へと下ろすからほとんどの学院生は街の人と関わらないんだけど。

 貴族たちの平民への差別は酷くて、絶対に街の人と会話しないような貴族も存在しているくらいだ。

 普通のお店が使えないとか不便すぎると思うのだが……それでもそのスタイルを貫いている人もいるのだ。

 それで、だが。

 僕は依頼の引き受けをやっていない。面倒だから先生たちを脅して免除にしてもらったのだ。

 

「……それについても言いたいことはあるが後回しだ。依頼が来たのは生徒会に対してだ。今、生徒会にいるのは俺とお前と生徒会長だけだ。人手がないんだ。お前にも動いてもらうぞ?」


「えー」

 

 僕は全身で不服を表現する。


「そんな顔をするな!これは強制だ!ほら!立て!」

 

 アルミスは僕の方へと手を伸ばし、強引に立たせてくる。


「はぁー」

 

 僕はここでようやく観念し、自分の足で立つ。


「ハァハァハァハァ。……俺ってば苦労人としてのキャラが確立されそうで嫌なんだが……こんなことするの」


 アルミスが息を切らしながらそんなことを言葉として漏らす。


「え?もう既に君は苦労人キャラでしょ?」

 

 それに対して僕は何を言っているのだろうか?こいつは。という視線をアルミスへと向ける。

 とっくの昔にアルミスの苦労人キャラは確立しているだろう。


「……え?」


「え?」

 

 僕とアルミスは互いに視線を合わせて見合った。

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