第5話
「はっはっは!ねぇねぇ!見てみて!国がボロ負けしているよー!!!」
喜々として生徒会長が僕に資料を見せてくる。
そこに書かれているのは国が発行しだして新聞の売れた数。
書かれている数字は泣きたくなるほどに少なく、国が発行した新聞が一切売れていないことを示している。
「ざまぁねぇ!国ごときが勝てるわけねぇんだよなぁ!こんなクソみたいな新聞が売れるわけないんだよなぁ!」
国が発行している新聞は読む気が起きないくらい酷い作りで、これっぽちも読みたいとは思えなかった。
それに対して各種新聞社はそれを煽るような記事を出している。王侯貴族の貴き血なんて嘘っぱち!なんて言う責めた新聞すら出ているほどだ。
「やっぱり貴き血とか言っておきながらゴミね!」
「間違いない!」
楽しそうな生徒会長のの言葉に僕も頷く。
「……お前らの話はいちいちやばすぎるんだよ……」
それに対してアルミスが深々と言葉を漏らす。その声色は心底疲れているようだった。
僕は今、久しぶりに生徒会室へと来ていた。
生徒会室にいるのは僕と生徒会長とアルミス。
実家へと帰省していない生徒会メンバー勢ぞろいだ。
「諜報部隊にでも聞かれたら大変なことに……」
「大丈夫!大丈夫!僕はアレイスター家だよ?国家の中枢。諜報部隊のトップぞ?」
「……あっ」
僕の言葉にアルミスは口を開ける。
どうやら忘れていたようだ。……基本的に隣にいる友達が諜報部隊のトップであることを忘れられる、ってすごくない?
「……え?この国大丈夫なん?これが諜報部隊のトップで」
「失礼な!僕らアレイスター家が諜報部隊のトップだからこそ、この国があると言っても過言ではないのだよ?」
「そうよ!『姿なき王』の名は絶大なのよ?」
「いや、まぁそれは俺も聞いていたけどよ……」
生徒会長の言葉にアルミスはなんとも言えない表情を浮かべる。
「けどなぁ……だってこれだぞ?」
「これとか言っちゃ駄目よ?……夜はものすっごいんだから!」
「よ、よ、よ、夜ぅぅぅぅぅぅぅぅぅ!?な、何を言っているんだよ!馬鹿!」
生徒会長の夜発言にアルミスが顔を真っ赤にして大きな声を上げる。
「もぉー純情だなぁ」
恥じらうアルミスを生徒会長が笑いながら誂う。
「……」
そんな二人のやり取りを横目に、僕は新聞記事をぼーっと眺めていた。
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