第4話

 新聞社狩りを始めてから早いことでもう一週間。


『どうなっているのですか?』

 

 僕は再び五賢会に呼び出されていた。


「はぁ……どうなっているも何も起こっている出来事そのとおりだけど?」


『私があなたに命じたのは新聞を叩き潰すことのはずです。なのになんですか?この体たらくは』


 僕はあれからずっと幾つもある新聞社の社長を殺し回っていた。

 ……すべての新聞社を作ったのは我々であり、その社長は全員うちの傘下の人間なんだけどね。


「僕らに出来るのは殺しだけだと言っていたはずだけど……?殺しの結果。こうなっている。であれば僕らに出来ることなんてないよ?首を失っても止まらない組織の対処。それはアレイスター家の仕事ではないが?」

 

 本来。首を失っても止まらないような組織の対処はこの国に存在している諜報部隊がどうこうする問題だ。

 まぁ、基本的に、というか今まですべての問題をアレイスター家が片付けていたせいで諜報部隊が一切使われず、お飾りよりも酷い状況となっているので、まともな仕事など期待出来ないだろうけど。


 僕による新聞社の社長殺害。

 これの事件を各種新聞社はこぞって政府による陰謀だとして連日非難。そして、この程度の圧力我々は決して屈しない、国民たちに自由と発言権を!と、声を上げ続けている。

 それによって新聞社の勢いは更に増し、王侯貴族への不信感の高まりもまた加速していく。


「それともなんですか?この国の国民を皆殺しにしろ、とでも?」


『……』

 

 僕の疑問の声に五賢会は沈黙する。


『使えませんね……』

 

 沈黙の末、五賢会は僕に対して吐き捨てるように侮蔑の言葉を投げてくる。


「……個人的な私感だけど……もう無理だよ」

 

 僕はそんな五賢会の言葉を無視するように口を開く。

 

「どうしようもないくらいにこの新聞というものが流行ってしまっている。もはや影響力をすべて削るなんて無理だよ?国も同じく新聞でも作るのが良いんじゃないかな?ただの一市民が作る新聞なんかより五賢会が作る新聞の方が売れるだろう?」


 僕の言葉。


『ふぅむ』


 それに対して五賢人は考え込む。


『それが良いかも知れませんね……』


 納得したかのように五賢会は頷く。


『それではあなたの意見を採用しましょう。感謝してください。それでは退室してください』


「へいへい」 

 

 僕は五賢会の言葉に頷き、ここからゆっくりと退室した。

 ……まったく。

 本当に馬鹿馬鹿しいくらいに進んでいく。


 目の前が真っ暗になり、転げ落ちてしまいそうな道を僕は歩き続けた。

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