第2話
「あなた達が僕を呼ぶなんて珍しいじゃん。一体何の心変わり?」
立派な王宮の地下深く。
そこに玉座の間をも超えるほどの豪華な場所が一つ。
『薄汚い口を閉じなさい』
僕の軽率な言葉に帰ってくるのは感情の読めない、人間じゃないような加工された声。
五賢会の声だ。
「へぇ、へぇ」
それに対して僕は舐め腐った態度を取る。
『……アレイスターの者が……我々を誰だと思っているのか……』
五賢会。
それに属している五人の老人の顔。それを実際に見て確認出来る人はごく少数……というか僕とお父様くらいだろう。
五賢会と謁見出来るこの場。
今僕が立っている周りに存在している巨大なカーテン。
その奥に五賢会の面々がいる。彼ら、彼女らの姿はシルエットでしか確認することが出来ない。
彼ら、彼女らは決して人前には姿を表さないのだ。
ちなみに僕とお父様がそんな彼らの見た目を知っている理由は普通に侵入して確認したからである。
一人は未だなお若い女性で、他四名は生きているのも不思議なほどにヨボヨボな爺だ。
若い見た目のままの女性はずっと変わらないらしい。少なくとも100年前からずっと若い姿のまま君臨しているらしい。
『まったく……アレイスター家のくせに好きにしているあなたには反吐が出ますよ」
僕は五賢会の人間の言葉を聞き流す。
「それで?僕に何の要件だ?……あなた方が呼び出すなんて穏やかじゃないが……」
『そんなに難しい話じゃありません。新聞。最近市井で流行っているこの媒体をご存知でしょうか?』
「まぁ、知っているよ」
『流石に知っていましたか。……それではあなたに対して直接命を下します。この新聞を叩き潰しなさい」
「は?なんで?」
五賢会に対して僕は意味がわからないと言ったような表情を浮かべる。
『はぁー……あなたのような無能が知る必要のない話です。まったくあの見かけだけの坊やと言いなんでこうも無能が多いのでしょうか……」
見かけだけの坊や。
あなたが言っている国王は新聞に対する脅威は僕に教えられているので知っているけどね。なんならあなたたち以上に。
未だどの貴族も脅威と認識していない新聞に対して脅威を抱けるのは優秀な証拠ではあるが……。
だけど、詰めが甘い。
『あなたは知る必要も、考える必要もありません。ただ任務をこなせば良いのです』
「……理解」
僕は言葉短く答える。
まるで道具のように、必要なことはせず、徹底的に感情を省いて。
『えぇ。あなたはそれで良いのです。……では、アレイスター。しっかりと任務をこなしなさい』
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