第47話

 魔法が使えない。

 そんな突然の事態にサブマたちは困惑し、戸惑う。


「我の魔法よ」

 

 アズカバンが堂々と告げる。


「この魔法。我にしか使えぬ特殊結界でな。……発動に時間がかかり、発動準備中は他の魔法を使うことができないというデメリットもあるのだが……それでもこの魔法の効果は絶大よ。魔法の効果は至ってシンプル。我以外の存在が魔法を使うことを封ずる、というものだ」

 

 アズカバンはその圧倒的過ぎる魔法の効果を。

 魔法が使えなくなったその理由を口にした。





「どうだ?戦士たちよ。魔法使いと剣で戦った気分は」

 

 

 

 絶望的な一言。

 圧倒的過ぎる一言を前にサブマたちは戦意を喪失する。どう考えても勝てるわけがなかった。

 魔法なしの、剣での勝負ですらギリギリだったのだ。

 にも関わらず本来相手は魔法を得意とする相手であり、今までは魔法を使っていなかった。

 本当の脅威、アズカバンの強さはここからなのだ。

 それに対してもうサブマたちは魔法を使えない。どうしようもない。詰みでしかなかった。

 まだ10分しか経っていない。30分にはまだほど遠い。

 

「もう止めて!!!」

 

 サブマたちの心が折れたとき、キャサリンが姿を表した。


「ッ!?なんで来た!?」

 

 キャサリンの姿を見て、サブマが大きな声を上げる。


「あなたの目標は私なのでしょ?なら私を殺しなさい。……だから、みんなは殺さないで」

 

 キャサリンがアズカバンの方へと進みながら言葉を告げる。


「……良いだろう。本来であれば、武人との戦いに情けなど不要なのだが……我にも立場があるのでな。あまり人を殺したくはない。汝が提案を聞き入れよう」


「駄目だッ!!!」


 それに対してサブマが叫ぶ。

 それと同時に、サブマは立ち上がりアズカバンの方へと向かっていく。

 

 仲間のことを思い、守るべく立ち上がる。

 それは主人公としてはふさわしい姿だろう。


「黙っていろ」


 だがしかし。

 主人公としては……絶望的に力が足りなかった。

 アズカバンが発動させた魔法によってサブマはあっさりと吹き飛ばされる。


「くっ……ァ」


「もう良いの。これは……生まれてきた私が悪いのだから……みんな、ありがとね」


 アズカバンの前に立ったキャサリンは膝を折って首を差し出した。


「良き心がけだ。その覚悟に免じて苦しませずに殺してやろう」

 

 ゆっくりとアズカバンの腕が持ち上がり、剣が光を反射して煌めく。

 その時。


「─────ッ!?」

 

 風が割れる。

 アズカバンは慌てて自分の方へと飛んできた枕を回避する。 


「うるせぇよ」

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