第45話
「─────ッ!!!」
「ふむ」
ミリアは必死にアズカバンの攻撃に食らいついていく。
まるでエルピスと戦っているのかと錯覚するほどに速く、鋭い剣閃を前にミリアは冷や汗を垂らしながらそれでも必死に食らいつき、戦いを演じていた。
「……何故に私の剣を知っているのだろうか?」
「『紅蓮烈技』」
アズカバンは心底不思議そうに首を傾げながら、後ろから自分へと剣を向けてくるサブマを蹴り飛ばす。
「ぐっ」
「『エアプレス』」
ラザリアの魔法が発動し、圧倒的な質量を持った空気の塊がアズカバンを襲った。
「……っ」
一瞬だけアズカバンの動きが鈍る。
その一瞬の隙を決して見逃さず、ミリアはアズカバンへと極小の針を打ち込む。
「……何を?」
アズカバンは打ち込まれた極小の針を前に首を傾げる。
「ヤァ!!!」
リーリエは考える隙を与えまいと突撃する。彼女の身を守っているのは結界だけ。
「煩わしい」
アズカバンは適当に剣を振るって結界を破壊し、首を斬り飛ばそうとする。
「ほう」
リーリエはアズカバンの予想以上の速度で動いて、剣を回避する。
そしてそのままタックルした。
「まぁ、無駄だがな」
アズカバンはリーリエへと膝蹴りをお見舞いする。
「カハッ」
リーリエは血を口から吐き出す……しかし、それでも決して倒れない。
少し距離を置いていたミリアが煙幕を投げつける。その煙幕によって撒き散らされる煙は毒煙である。
「……?」
「くっ」
毒を前にリーリエは表情を歪め、アズカバンが首を傾げる。
「あまりにも毒が弱すぎるぞ……これでは仲間を傷つけただけだ」
「……ァ」
アズカバンはリーリエの首を蹴り飛ばした。
リーリエは吹き飛び、痙攣している。すぐに回復魔法をかけなければ命すら危ういだろう。
「またお前か」
ミリアが無言のまま大地を蹴り、アズカバンへと接近する。
「『泥化』」
「むっ」
アズカバンの足元が泥へと変わり、ゆっくりと足が沈んでいく。
「これは……」
泥のせいでアズカバンは上手く踏ん張ることが出来ない。
メインをミリア。そのサポートをサブマ。
この二人の連携を前にアズカバンは防戦一方となる。ミリアとサブマのコンビはエルピス仕込みの格上と戦うときのためのもの。
エルピス仕込みの連携は、アズカバンにも問題なく機能した。
「……さっきから歪すぎるな」
アズカバンは疑問を抱きながらも捌き切る。
ミリアとサブマの攻撃を。ラザリアの妨害魔法、支援攻撃などにも対処しながら。
「そろそろか」
ミリアがボソリと呟いた。
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