第44話

「ァ!?」

 

 アズカバンが盾を構えるリーリエを蹴り飛ばす。

 リーリエの構える盾を……アズカバンは容易く破壊し、リーリエはあっさりと吹き飛ばされる。


「シッ!!!」

 

 キャサリンがアズカバンに向かって剣を振るう。


「おせぇし、脆ぇな」

 

 あっさりとアズカバンはキャサリンが持っている剣を掴み、握りつぶす。


「死ね」

 

 そしてアズカバンは目標を達成すべくキャサリンの心臓を貫こうとする。


「風よ!」

 

 それを助けたのはラザリアだ。

 風魔法がキャサリンをアズカバンから解放させ、自分の後ろへと置く。

 

「あなたは後ろへ下がっていて!」

 

 ラザリアがキャサリンに向けて告げる。


「ちっ……」

 

 それに対してアズカバンは舌打ちし、ラザリアの方へと向かう。


「風よ!」

 

 ラザリアは風魔法を使ってキャサリンと共に全力で逃亡する。


「ヤァ!!!」

 

 リーリエがアズカバンへと突撃し、突き飛ばす。


「小癪な!!!」

 

 アズカバンがリーリエを蹴り飛ばし、鎧を破壊する。

 鎧が破壊された顕になったリーリエの服。それに向かってアズカバンが腕を振るう。その生命を奪うべく。


「させない」

 

 ミリアがそれを止めに入る。

 毒が濡れた短剣を投擲し、それと合わせてアズカバンへと距離を詰める。


「……っ」

 

 そのままミリアはアズカバンと格闘戦を行う。アズカバンの手に握られている剣をすべて避け、体術だけで頑張っていた。

 アズカバンはミリアの格闘戦の上手さに息を呑む。

 ミリアはステータス的には圧倒的なまでに格上であるアズカバンを相手に戦うことが出来ていた。


「ラザリア!そのままキャサリンと……それにキャシーさんも連れて安全なところへ!」

 

 サブマがラザリアに向けて大きな声で叫ぶ。


「わかったわ!」

 

 ラザリアが頷き、魔法で離れていく。


「はぁー。面倒な……あまり長居をするわけにもいかないのだが……」

 

 アズカバンが動きを止め、ため息を吐く。


「お前らを本当に殺さないと俺は目的を達成出来ぬわけか……まだあまり人を殺すなと言われているのだが……」

 

 アズカバンの身を魔力が包む。


「貴様らは……人間にしてはそこそこ出来る戦士のようだ。……こちらが適当にやっていては無作法というものを」

 

 アズカバンが剣を構える。

 それに対して全員が剣を構える。


「置いてきたわ」

 

 その段階でラザリアも戻ってくる。


「失礼。さっきまでの適当な扱いはやめよう。あなた達は我の敵となった。このアズカバンのな。……あなたたちが健闘出来ることを期待している」

 

 第三級魔族が本気となる。……ここからようやく始まりだ。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る