第40話
キャサリンの魔力排出症が治ってから早一ヶ月。
学院の方ではそろそろ夏休みになるという頃。
僕たちはこの小屋での生活に慣れていた。
もはや、あの小屋だけでは狭いということで別にもう二つ小屋を建てた。
一つはリーリエ、ミリア、ラザリアの女子三人部屋。
あともう一つは僕の小屋だ。
サブマは野宿。
これも修行の一つなのだよ。
「……これ、冬だったら死んでいたな……」
哀れな哀れなサブマが遠い目を浮かべて朝、薪割りを行う。
これも修行の一つなのだよ。
「ふむ」
僕はせっせと頑張っているサブマのことを眺めながらミリアの淹れた紅茶を嗜む。
今、僕は小屋に作ったテラスで椅子に座って寛いでいた。
「私も手伝うわ!」
この一ヶ月で随分と肉付きがよくなり、健康的になったキャサリンがサブマのことを手伝おうと近寄っていく。
「いや、これは俺が任されている仕事だから……キャサリンもエルピスに課されているものがあるだろう?」
「そうね……私はそっちをやってくるわね!」
キャサリンがサブマの言葉に頷き、少し離れたところで禅を組み体内の魔力を操作する修行を始める。
「あぁ……頑張ってくれ……俺も薪割りを頑張るから……」
サブマはのそのそと一切覇気の無い様子で薪をせっせと割っていっていた。
「あ、あの……私がパフェ作ってみたんですけど……食べてくれませんか?」
ゆっくりとしていた僕にリーリエがおずおずと話しかけてくる。
そして、僕の前の机の上に大きなパフェが乗せられる。
「ふむ。では、いただこうか」
僕はリーリエが作ったというパフェを口に含む。
「ど、どうですか?
「ふむ。美味しいな」
僕は食べてみての率直な感想を告げる。
「本当ですか!!!良かったです!」
僕の言葉を聞いてリーリエが心底嬉しそうに笑顔を浮かべた。
ぶるっ。
……ん?何故だろうか。今、悪寒が走ったような……。
ふむ。寝不足かな?
「ごちそうさま」
いきなり走った悪寒に対して疑問を抱きつつもパフェを完食した。
「……じゃあ……僕はしばし寝る」
「はい!それではこっちの容器は片付けておきますね!」
「おやすみなさいませ……エルピス様。……私が使用人として、しっかりと起こすのでご安心ください」
「あぁ」
僕はゆっくりと席を立ち、自分の近くにいるミリアとに向けてそう告げ、小屋の中に戻っていた。
「ふー」
外が見えるのように窓を開け、外の見えるソファの上に僕は寝っ転がって目を閉じた。
……やっとか。
ふー。やっと話が進むのか。来るならもう少し早く来いよ。
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