第38話

「えぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇええええええええええええええええええええ!!!」

 

 僕の言葉。

 それに対してリーリエが大きな声を上げて驚愕する。


「ちょっ……!?え?はっ?」

 

 リーリエは困惑に困惑を重ね、ただひたすらに疑問の声を重ね続ける。


「……ほ、ほんとに……?」

 

 そして、リーリエはためらいがちに口を開く。


「おう」

 

 僕はリーリエの言葉に頷く。

 

「……」

  

 それを聞いてリーリエはうつむき、体を震わせる。


「わーい!!!大好きー!!!」

 

 そしてリーリエは瞬時に地面を蹴り、僕の方へと抱きついてくる。


「邪魔だ」

  

 僕は抱きついてくるリーリエのことを叩き落とす。 


「へぶし」


 お父様の策を実行するとは言っても……そんなに大々的に動くものではない。

 そもそもの話、現時点での僕の好感度は皆無に近くて、今更交流を深めるのも大変。

 それに、今更態度を変えだしたら上位の王侯貴族たちも困惑するだろう。

 ここで不用意に、あからさまに行動を変えるのは得策とは言えないだろうからね。

 他人との壁を壊すくらいが丁度いいだろう。

 リーリエとラザリアの攻略は行っていくけど。

 リーリエは既に攻略済み、ラザリアを攻略するなら今のままの方が都合が良いので、悪役ムーブは辞めない。


「酷い!優しくしてくれるのでは!?」


「優しくするとは言っていないが?……というかこいつらはいつまで寝ているんだよ」

 

 僕は未だに気絶している面々へと視線を向ける。


「ほい」

 

 後ろに向けて僕は蹴りを突き出す。


「ふへっ」

 

 それに当たるのは後ろから不意打ちしようとしてきていたリーリエ。

 僕の後ろ蹴りに当たったリーリエは容易く吹き飛ばされた。

 気づかれないようにするため、結界魔法も使っていなかったので妥当な結果と言えるだろう。


「……君ってば不意打ち得意になりすぎじゃない?……一応警戒はしてたけどさぁ、ほら。敗北宣言して」

 

「むー。はーい。負けました」

 

 僕の言葉にリーリエは頬を膨らませながらも大人しく敗北宣言を告げた。


「うし、起こすか」

 

 僕は気絶して寝っ転がっているサブマたちを叩き潰した。

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