第20話

「エルピスー」

 

 気軽な感じでサブマが生徒会室へと入ってくる。

 その後に入ってくるのはリーリエとラザリアだ。

 リーリエは満面の笑みで、ラザリアは苦虫をダース単位で噛み潰したような表情を浮かべながら入ってくる。


「……一体何故あれらの生徒会入りを拒んだのだ?」

 

 生徒会長が僕たちのことを見て首を傾げる。

 ……まぁ、そうだろう。

 その感想になるのが普通だよな。


「僕は気まぐれなんだよ」

 

「なるほど。これ以上ない説得力である」

 

 僕の言葉に生徒会長は心底納得したように頷いた。


「それで?何のようだ?」

 

 僕はサブマへと疑問の声を投げかける。


「えぇっと……依頼の魔力排出症の人の方に行く準備が出来たんだ」


「あぁ」

 

 僕はの言葉に頷く。


「良いぞ。もう行くのか?」


「うん」

 

 僕の言葉にサブマは頷く。

 

「……何処に行くのですか?」

 

 僕の後ろに立っていたミリアが尋ねてくる。


「あぁ、ちょっとこれらの依頼についてくのだ……そうだ。お前もついてこい」


「承知致しました」

 

 僕の言葉にミリアは恭しく頭を下げて頷く。

 

「ミリアも来るのか」

 

 サブマは僕とミリアのやり取りを見て、目を少しだけ輝かせながら尋ねてくる。


「あぁ。来る」


「ご命令ですので」

 

「最低ねッ!女の子を道具みたいにッ!」

 

 このやり取りに対して噛み付いてきたのはラザリアだった。

 全く……思春期の子供というのはやりにくい。

 僕が対応するために口を開く……よりも前にミリアが先に動く。


「黙れ」

 

 一瞬でラザリアのもとへと移動したミリアがラザリアの頭を地面へと叩きつけて口を開く。


「エルピス様への敵意は私が許さない。……殺すわよ?私は自分の意思でこの場に立っているの。あなたにとやかく言われる筋合いはないわ」

 

 ミリアはラザリアの口元でそう告げる。彼女の鉄のような、冷たい言葉はラザリアに恐怖を植え付けるのには十分だった。


「え……あっ……」

 

 ラザリアは二の句が告げられなくなる。


「それでは……私もご一緒させてもらいます。よろしくお願い致しますね」

 

 ミリアは惚れ惚れするような美しい一礼を見せた。

 ちなみに生徒会室にいた僕以外の全員、サブマもリーリエも生徒会長もミリアを見て怖がっていた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る