第18話

「別に良いぞ」

 

 僕はサブマの言葉に同意する。


「魔力排出症の人間なんて初めて見るし、その治癒の過程とかも見てみたいからな」

 

 魔力排出症。

 何もしていないのに魔力を垂れ流してしまう奇病。一体どういう原理なのか。興味はある。

 ゲームだと治している過程はものすごくサラッと流される感じなのだが……どうなっているのか、興味は底をつかない。


「本当か!それは良かった!」

 

 サブマは僕の言葉を聞いて満足気に頷く。

  

「本当に!?エルピスくんも来るんですか?」


「あぁ」


「わーい!一緒にお出かけですね!」

 

 リーリエも目を輝かせて告げる。

 

「おう。そうだな」


 僕はリーリエの言葉に適当に返事しておく。


「で?いつ行くんだ?」


「いや……まだ未定だが早めに行きたい」


「おう。そうか……僕は生徒会室にいるからな。まぁ、行くときになったら生徒会室に来てくれ。僕はいつでも行けるからな」


「あぁ。わかった」

 

 僕の言葉にサブマは頷く。

 それを聞いて僕は席を立つ。


「じゃあ、そういうことで。んじゃ」

 

 僕はサブマたちに背を向けて歩き始める。


「あぁ、そうだ。忘れてた」

 

 足を止め、振り返ってラザリアの方を向く。


「もう喋っていいぞ」

 

 僕がラザリアにかけた封印魔法を解除する。

 これでラザリアも問題なく言葉を話せるようになったはずだ。


「あぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁあああああああああああああああああああ!!!」

 

 ラザリアは喋れるようになった途端に発狂する。


「私に何をしたぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁあああああああああああああああああ!!!」


「るっせよ、バーカ。周りの迷惑考えやがれ」


「お、お、お、お前が言うなよ!周りに迷惑しかかけていないような奴が!迷惑しかかけていないような奴が!」


「へっ」


 僕は発狂しているラザリアを嘲笑する。


「あぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁああああああああああああああああああ!!!」

 

「じゃあな」


「待てぇぇぇぇぇぇぇぇええええええええええええええええええ!一発殴らせろ!!!」


「おすわり」

 

 僕は一言。

 

「あふん」

 

 ラザリアの体が椅子の方へと引っ張られ、強制的に座らせる。 

 僕は魔法でラザリアを強制的に座らせたのだ。

 一分ほど席から立てないように封印魔法を使ってある。ラザリアは一分間大人しく座っている他ないだろう。


「じゃあな」


「待てぇぇぇぇぇぇぇええええええええええええええええええ!この魔法を解け!解け!解けぇぇぇぇぇぇぇええええええええええええええええええ!」

 

 僕は発狂しているラザリアを尻目に食堂から退出した。

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