第13話

「おいっと」

 

 僕は生徒会室の扉を開け、中へと入る。

 荷物を生徒会室に置きっぱだったため、僕は生徒会室に取りに戻ったのである。

 生徒会室に戻ってきたのは僕だけだ。

 図書館の後はみんなその場で解散したため、誰もいないのだ。既に自分の家に戻っているだろう。


「シクシク」

 

 真っ暗な生徒会室に響いている泣き声。

 

「うほっ!?」

 

 それに対して僕は驚きの声を上げた。

 僕の魔法により、明かりの灯った生徒会室。


「何やっているんだ……生徒会長」

 

 それにより顕になったのは部屋の隅っこで膝を抱えて蹲り、すすりに泣いている生徒会長だった。

 その手には僕の荷物が握られている。


「ひどいよぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!」

 

 立ち上がり、僕の方へと飛びついてくる生徒会長。


「ふん」

 

 僕はそれを避ける。

 

「はべべべべべべべべべべべべべべべべべべべべべべべべべべべべべべべべべべべ」

 

 生徒会長はきれいに転倒し、顔面で床の汚れを拭き取っていった。


「避けるなよ!?そこは受け止める流れでしょ!?」

 

 勢いよく立ち上がった生徒会長は僕の方へと近寄ってくる。


「奴隷は黙っていろ」

 

 僕は近寄ってくる生徒会長の眉間に向かってデコピンを飛ばした。


「はぁん!」

 

 それに対して生徒会長は頬を赤らめ、その身を悶えさせた。


「……酷いよ。私が来たら誰もいないんだもん。一人ぼっちだよ?一人ぼっち」


「うるさい。放置プレーだ」


「放置プレイは嫌だよ!寂しいじゃんか!」


「僕は寂しくない」


「無慈悲!」

 

 僕は部屋の隅へと向かい、荷物を手に取る。


「……おい」

 

 帰ろうとする僕。

 それを阻止するかのように生徒会長は扉の前を陣取り、鍵を閉める。


「……ここにいるのは男女二人っきり……この場で起きるのは唯一……」


「はぁー」


 僕はため息をつき、生徒会長の方へと近寄っていく。


「っ」

 

 体を震わせた生徒会長の肩を掴み、ソファの方へと投げ捨てる。


「キャッ」

 

 生徒会長の悲鳴。それを聞きながら僕は荷物を床に置き、転移魔法を使って生徒会長の上へと乗る。


「仕方ねぇ、雌豚だ」


「わーい!」

 

 生徒会長は僕の方へと手を伸ばし、顔を近づける。


「んっ……ちゅ」

 

 悶えるのほどの熱気が生徒会室を覆い尽くした。

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