第11話
「はぅわぁ……」
本をカバンの中へと仕舞ったリーリエが恥ずかしそうに顔を覆い、顔を真っ赤にする。
「……うぅ。こ、これはね!」
そして弁明するようにリーリエは大きな声を上げる。
「私のための本じゃなくて……!その!その!そう!友達に恋愛について相談されて、その友達の助けになるために……その勉強のために買ったやつなの!」
「わかった、わかった」
僕はリーリエの必死の言葉に頷く。
「リーリエ。声がデカい。迷惑だ」
そして、一言リーリエに告げる。
リーリエの声は大きくて、図書館中に響き渡らんばかりだった。
「はぅわ!?」
リーリエは体を震わせる。
「あ……ごめんさない」
そして、リーリエは司書をやっている女性へと頭を深々と下げる。
「いえ、構いません……私も無責任でしたね」
司書をやっている女性が苦笑しながら告げた。
そして、僕の方へと視線を向けてくる。その視線はどこか意味ありげだった。
司書をやっている女性の意味深な視線には肩をすくめることで答えとする。
僕はまだリーリエを攻略するつもりはない。……この先の未来でどうなっているかはわからないけど。
「それでは私はそろそろ失礼しますね……お邪魔しました」
司書をやっておる女性が僕たちの元から離れていった。
「戻ったよ」
それとすれ違う形で調べ物をしていたサブマとミリアが戻ってくる。
「な、なぁ。調べ物の途中にすっごく大きなリーリエの声が聞こえてきたんだが……何かあったのか?話している内容はよく聞き取れなかったんだが……」
サブマがリーリエへと尋ねる。……ここで掘り返すか……。
「な、なんでもありません!」
それに対してリーリエが頬を赤らめて、大きな声を上げた。
「あ……え?そうか?」
サブマは首を傾げる。
「あまり女性の話題を掘り返すものではないでしょう。紳士的とは言えませんよ?」
僕の後ろへとやってきたミリアがサブマへとそう告げる。
「あ、あぁ……そうだな。すまない」
その言葉を聞いてサブマはリーリエへと頭をさげる。
「あ、いや……大丈夫、だから」
ミリア。
僕にちょっとだけ意味深な視線を向けてくるんじゃないよ。
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