第10話
「えぇっと……ここなんですが……」
「あぁ、えっと……そこはね」
僕は図書館でリーリエの勉強を見る。
サブマはミリアと調べものをしている。サブマは薬草について調べたいと言っていた。
僕の知っている薬草の知識は尖りまくっている。
サブマが求めているような知識を探すのであれば、僕よりもミリアの方が適任だろう。ミリアも本人の魔法の性質上、薬草の知識にも長けている。
「あぁ……なるほど。そういうことですか」
リーリエが僕の言葉に頷く。リーリエの頭は悪くない。一度教えてしまえば
「教えるの上手いですね……ふふふ。流石です」
「当然だ。年齢以外に僕に勝るところなどない先生たちと僕を比べられても困る」
「ふふふ。えぇ……そうですね」
僕の言葉にリーリエは楽しそうな笑顔を浮かべ続ける。
「勉強ですか?偉いですね?」
僕とリーリエが勉強しているところに一人の女性が話しかけてくる。
話しかけてきたのは薄い青髪で碧眼を持っている女性で、図書館の司書をやっている人だ。
「あ、すみません。うるさかったでしょうか?」
「いえいえ、全然。大丈夫ですよ。この場は生徒さんたちの場所ですから。騒がしく遊ばれると困るのですが、勉強ならば構いません。ここは生徒のみなさんが勉強する場所でもありますから」
「うむ。それで?何の用だ?わざわざ話しかけてきて」
「えっとですね……これ、前回に来たときに落としていきませんでした?」
司書をやっている女性がリーリエへととある一冊の本を差し出す。
その本にはカバーがつけられていた。
「うちの蔵書ではなくてですね……おそらくあなたの物だと思うのですが」
「いえ。私はカバーのつけている本を持っていないのですが……」
「あぁ。これは私がつけたものです。題名が見えないようにと」
「あ、なるほど。それでは確認しますね」
リーリエが本を受け取り、カバーを外そうとする。
「あっ!?それは辞めておいた方が……」
司書をやっている女性の静止の声。
「あ……」
だがしかし、それはもう遅かった。リーリエはカバーを外し、題名を顕にしてしまう。
そこに書かれていた本の題名。
それは、『王国貴族流!男の子の落とし方!これであなたも恋愛マスター』だった。
「はわわ!?」
リーリエの頬が真っ赤に染まった。
「み、見ないでください!」
僕の前でリーリエが手をワチャワチャとさせて、告げる。……いや、まずは本を隠せよ。
後、リーリエってば僕に好意を隠しているつもりでいるけど……バレバレだからね?隠すつもりあるの?
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